ご愛読いただいています宮本輝さんの小説「灯台からの響き」は20日に終了し、西條奈加さんの時代小説「婿どの相逢席(あいあいぜき)」が21日に始まります。

 ときは文政初期(1820年ごろ)、小さなようじ屋の四男鈴之助(すずのすけ)は、江戸で6代続く仕出屋・逢見屋(おうみや)の長女千瀬(ちせ)と相思相愛、婿入りすることになった。女系が続き女将(おかみ)が全てを采配する店で、目を光らせる姑(しゅうとめ)に新婚早々から責められ肩をすぼめて日を過ごす。

 婚礼、成人、弔い-それぞれの特別な席には膳を囲む人々の物語がある。鈴之助はその意味を理解しながら、客の人生に大切な句読点を打つ役目を担う。

 仕出屋の「婿どの」が妻とともに奮闘する人情味あふれる物語です。ご期待ください。

 挿絵は書籍や雑誌の挿絵などを幅広く手掛けているイラストレーター瀬知エリカさんです。

 【作者の言葉】抱負は親しみやすさ、わかりやすさ。時代小説はとっつきづらい、と感じる読者が、無理なく読める物語が、私にとっての理想です。舞台は仕出屋、いわば料亭の前身であり、江戸の食文化には欠かせぬ存在でした。目だけで恐縮ですが、江戸の食を愉(たの)しみつつ、仕出屋に縁付いた婿どのの奮闘記を楽しんでくだされば幸いです。

 【さいじょう・なか】 1964年北海道生まれ。2005年「金春屋ゴメス」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年「涅槃(ねはん)の雪」で中山義秀文学賞、15年「まるまるの毬(いが)」で吉川英治文学新人賞を受賞。「三途(さんず)の川で落としもの」「ごんたくれ」「隠居すごろく」、また「まるまるの毬」の続編「亥子ころころ」等、多彩なテーマの時代小説、現代小説を手掛けている。

岩手日報社