台風19号は列島各地に深い爪痕を残した。未曽有の雨量で各地の河川が氾濫。多くの犠牲者を出した。被害の全容はつかめておらず、なお拡大の様相を呈している。

 本県でも沿岸を中心に記録的な豪雨となり水害が多発。建物被害は床上浸水約60軒、床下浸水100軒、土砂流入約30軒が15日までに確認されている。道路が不通となっている区間もある。三陸鉄道は路盤ごとの流失もあるなど甚大な被害を受けた。

 住民や企業、行政は懸命な作業を続けており、一日も早い復旧を祈りたい。多くのボランティアの協力も必要になろう。

 国内では想像を絶する被害が発生した。際立ったのは堤防の決壊だ。約60河川の計約90カ所で決壊した。

 長野県の千曲川決壊は衝撃が大きい。決壊地点は地元河川事務所が警戒していたが、長大な川のために整備が追いつかなかったという。

 国は治水政策の根本的な転換を図ろうとしていたが、その矢先で堤防の決壊が相次いだ。優先順位を付けての早期整備が望まれる。ただ、財源には限りがある。ハード施設整備の一方で、避難や街づくりの在り方など命や財産を守る対策の構築が欠かせない。

 近年、台風は威力を増している。19号が勢力を大きく落とすことなく上陸したのは日本近海の海水温上昇が要因とみられ、地球温暖化が影響した可能性もある。専門家は、温暖化が止まらなければ強い台風や豪雨の確率が増えると警告する。

 人類の未来を左右する温暖化への対策は息長く取り組まなければならない。一方で、台風や豪雨にどう対処するかについて現実的な対策を探るのは喫緊の課題だ。

 今回気象庁は、上陸3日前に異例の臨時記者会見を開いたり、過去に甚大な被害をもたらした台風を例に挙げて最大級の警戒を促した。

 鉄道各社は大規模な計画運休に踏み切った。これまでの災害対応の教訓を踏まえた計画運休は、国民にも重要性が認識されてきたようだ。コンビニなども「計画休業」を実施。災害時の休業については、さまざまな職場で検討すべき事案となろう。

 県内では、台風接近を前にしてイベントが相次ぎ中止決定された。安全上、早めの判断が今後も求められる。

 ラグビーワールドカップ日本大会の釜石でのナミビア-カナダ戦は、ぎりぎりまで開催可能性が模索されたが、中止に。残念だったが、関係者の安全を最重視した結論は、やむを得ない決断だった。

 「未曽有」の天災が相次ぐ列島。災害発生時は災害対応を最優先する。減災のためにその意識を高めたい。