リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

富川岳さん第3回(全4回)

 
しし頭をかぶり“しし”として参加

 「岳ちゃんも、“しし”としてカウントされてるから」。昨年9月、週末に遠野まつりを控えた月曜日に連絡が入りました。今年のまつりは撮影で参加しようと思っていた矢先、ひょんなことから附馬牛地区「張山しし踊り保存会」に“しし”として参加することになりました。張山しし踊りは『遠野物語』にも登場し、柳田國男が遠野を訪れた際に目にしたとされる歴史ある団体。『遠野物語』を研究している者としては、物語の中に入ることができるとあって、急なお誘いに驚きながらも、これはやってみたい!と参加させていただきました。4日間の練習を経て本番へ。しし頭をかぶり、先輩ししの背中を無我夢中で追いかけるうちに初めてのしし経験が終わりました。

 そして、今年も“しし”として参加。今回は、各団体が“推し”演目を披露する夜の部にて、「門がかり」というソロパートを演じました。本番直前の夕ご飯の最中、「岳、やるか?」と言われ出演が決定しました。スポットライトが当たる独特の雰囲気はとても緊張しましたが、同時に経験したことのない高揚を感じることができました。神社などの門をくぐる時にする「門がかり」。それは、ある境界を越えて、自分を知らない世界へと連れて行ってくれたしし踊りそのものだと思いました。引き続き先輩方のもとで練習し、もっと上手くなりたいと思います。

今月の人 富川岳さん
ローカルプロデューサー。1987年新潟県長岡市生まれ。都内の広告代理店を経て遠野に移住。土地の人や文化、物語の魅力を発信するプロデューサーとして活動中。