台風19号で釜石市の尾崎半島は外部とつながる道が断たれ尾崎白浜、佐須の2集落計133世帯、348人は孤立状態にある。雨で道路は川と化し、路肩は崩れ、集落は深い泥が覆っていた。道路の復旧に当たる自衛隊と13日、集落に入った。

(報道部・浅沼祐一、金崎諒)

 同市平田から半島へ向かう県道を車で行くと突如、道が川になった。山から噴き出た雨水がしぶきを上げ、周囲には岩と倒木。路肩は約3メートル下まで垂直に落ち「滝」ができていた。

 車を諦め、歩き始める。災害派遣された陸上自衛隊第9師団第9高射特科大隊(菊浪仁志中隊長)を追い、約1・5キロを40分かけ尾崎白浜に着いた。

 漁港周辺は深さ30センチほどの泥が覆っていた。水を含んでぬかるみ、長靴を取られる。地元の会社員佐々木義幸さん(57)によると、12日深夜から13日未明にかけて複数の沢から流れ込んだ大量の水があふれた。水深は約2・5メートルに達し、一部の住宅や事務所が浸水した。

 2集落は全戸断水。同日午前には釜石海上保安部の巡視船が飲料水を届けた。佐々木さんは「高齢者が多い地域。何をするにも道が通らないと」と嘆く。港には大量の流木が漂着し、カキ養殖施設の被害も心配だ。

 午後0時45分、地域住民と同大隊20人が路上の撤去作業を始めた。流れ着いた数百個のブイをよけ、重機で泥をかき出す。中村重雄さん(83)は「ここに家を建て50年。これまで3度、大雨にやられたが、今回が一番ひどい」とうめく。

 半島南部の佐須集落でも土砂が車を埋め、一部は民家に流入するなど被害は深刻だ。市によると、半島一帯の孤立解消には早くて3日ほどかかる見込み。集落には透析が必要な人や幼児もおり、尾崎白浜から平田までの往復約11キロを歩いておむつや食品を買いに行く住民と何人もすれ違った。通院や買い物などの船での輸送も検討するなど柔軟な対応が求められる。