自然災害が猛威を増している。9月の台風15号は、特に千葉県内で家屋や送電施設などに甚大な被害をもたらした。復旧にはなお相当の時間を要しそうだ。

 災害は住居など個人の財産やインフラなど公共の財産を奪う。接近している大型の台風19号の被害も懸念される。

 近年の被害には、ある特徴も目立つ。老朽施設や古い基準で作られた施設の被災だ。

 老朽インフラの危険性に警鐘を鳴らしたのは2012年の山梨県・中央自動車道トンネルの天井板落下事故。車が下敷きになり9人が犠牲になった。これは平常時の事故だが、災害が伴えば発生を誘発しやすくなることは容易に想像できる。

 実際、その前年の東日本大震災でもインフラ被災が起きている。北上川に架かる奥州市内の橋が損傷し、数カ月間全面通行止めとなった。その橋は古い技術基準の構造だった。

 日本列島では毎年のように大雨被害が起こり、暴れる水があふれた河川で橋が崩落するケースが続出している。施設の老朽化が著しければ、ひとたまりもない。

 橋の被害では、倒れた木が流木となって衝撃を与えることが少なくない。森林管理がかつてのように行われていないことも背景にあろう。放棄地の問題も含め、「管理の老朽化」と言えないか。

 森林の影響という点では千葉県の台風被害がその例だ。電柱や電線の損傷、復旧の長期化は倒木が大きな要因。インフラを守るためには周囲の森林環境保全も欠かせない。

 老朽化の問題は公共物だけではない。新潟県で震度6強を記録した6月の山形県沖地震では、空き家が壊れても補修されないため周辺住民が苦慮。廃業ホテルが損傷し倒壊の恐れがあるとして、自治体が空き家対策特別措置法に基づく略式代執行での解体を決めたケースも出ている。

 老朽施設や放置建造物の扱いは重い課題だ。災害時の被害をできるだけ少なくするためには事前の対策が重要と言える。時間の経過は老朽化を著しくさせ、対策を難しくするからだ。

 問題は、公共施設では管理に当てる予算や人のやりくりが難しくなっていることだ。財源は厳しさを増し、膨大に蓄積されたインフラや施設全てを維持するのは現実的ではない。理解を得ながら地域間の利害を超えた「選択」を進める必要がある。

 民間の家屋や施設についても早期対応が望まれる。所有者や責任者が不明になると税金投入の局面も出てくる。行政の施策はもちろんだが、住民や事業者が所有物を放置したり廃虚にしない意識を持つことが求められる。