花を手に、街頭で性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」が全国に広がっている。プラカードを掲げて静かに立つ姿や、語り掛ける姿。「一人ではない」「あなたに寄り添う」-。女性たちを中心に心に押し込めてきた苦しみ、勇気があふれだしている。

 デモは、性犯罪の無罪判決が相次いだことを受けて4月にスタートした。ツイッターなどを通じて拡散。呼び掛けに共感した人たちが毎月11日、全国各都市でデモを開催するようになった。

 「すごいことが起きている」。デモの存在を知って心を揺さぶられた女子学生が主体となり7月、盛岡でも活動が始まった。

 性暴力や犯罪被害者支援について学ぶなど以前から関心を高めていた女性だが、周囲で話題になることはなかったという。「いろんな人と知り合って話がしたい。人とつながることで、当事者も支援者も、前向きな気持ちに動いていけるエネルギーが生まれたら」と願う。

 性暴力は、「魂の殺人」ともいわれる。知られたくなくて泣き寝入りするケースも多い。やっと打ち明けても、適切な理解や支えが得られずにさらなる苦しみを招く。自分に落ち度があったのかと責めてもしまう。そうした気持ちを抱えながら、前を向いていくのは容易なことではない。

 セクハラや性被害を告発する「#MeToo」運動は世界的に拡大した一方で、声を上げた人に対するバッシングも起きた。

 国内では2017年に刑法が大幅改正され、性犯罪が厳罰化。強姦(ごうかん)罪から名称変更された強制性交等罪、強制わいせつ罪などは、被害者の告訴が必要な親告罪規定を撤廃。だが暴行や脅迫、あるいは抵抗や拒絶できない状態に乗じた場合などに罪が成立するという要件は維持された。

 被害に遭った場合、驚きと恐怖で心も体もフリーズしてしまい、抵抗を証明するのが困難となるケースもあるだろう。フラワーデモでは、来年にも予定される刑法見直しを見据え、こうした要件についても議論の必要性を迫る。

 当事者が守られ、声を上げて再び傷つけられることのない支援の在り方など、考えるべき課題は多い。何より求めるべきは、性暴力の根絶だ。心の奥底から絞り出した当事者らの言葉は重い。社会に横たわる無関心や性差別に疑問を投げ掛けている運動とも言えるだろう。

 あすのデモは全国21都市で開催。盛岡では午後7時から、盛岡駅前滝の広場で行う予定で「共に知ることから始めたい」と呼び掛ける。

 前に進もうと歩き始めた人たちがいる。その思いに向き合うときが来ている。