消費税率がきょう1日、8%から10%に引き上げられた。1989(平成元)年の導入時に3%だった税率は、30年で大台となった。

 消費税は2014年4月、5%から8%へ増税されるまでに17年かかった。本来なら翌15年10月に10%になるはずだったが、安倍晋三首相が2度先送りしている。

 いずれも経済情勢を理由としたものだ。毎日の買い物で家計に直接響く消費税の増税は、国民の反発がとりわけ強い。日本での税率上げがいかに難しいかを物語る。

 日本の高齢化は加速していく。次世代のため、社会保障制度を持続しなければならない。7年前、民主党政権に自民、公明両党も加わって決めた増税の狙いだった。

 次に登場した安倍政権は税率上げに慎重で、今回も延期との見方があった。予定通り増税に踏み切るのは、もはや膨らむ国の借金を放置できないということだろう。

 全国民が納める消費税よりも、豊かな人や大企業の負担を増やすべきだとの声は根強い。そういった主張は選挙で一定の支持を集める。

 だが今でも、受ける医療サービスは同じなのに、払う保険料は所得によって違う。その不公平感をどこまで受け入れ、皆が平等に納める消費税とのバランスをどうするか。永遠の課題と言えよう。

 一方で消費税は、所得の低い人ほど負担が重い。岩手の場合、震災の被災者には生活再建が進まない人も多い。格差が広がらないよう、細心の目配りが必要となる。

 増税に合わせて低所得の高齢者に年金が月最大5千円上乗せされ、生活保護費も一部引き上げられるが、不十分との声は多い。低所得者や子育て世帯向けの商品券も、一過性では意味が薄れる。

 心配なのは、低所得の人に配慮したはずの軽減税率を巡る混乱だ。店内での飲食は10%、持ち帰りは8%で店によっても対応が異なり、分かりにくさが残る。

 キャッシュレスのポイント還元も店や決済事業者で対応が割れ、複雑になった。カードやスマホを持たない高齢者が恩恵の対象外となる問題も解決されていない。

 制度への理解が深まらぬまま、この日を迎えたのは残念だ。さらに政権は税収の使い道を社会保障から幼児教育無償化に広げ、何のための増税かも分からなくなった。

 使い道を増やした分、国の借金を返すお金が少なくなる。2度の増税延期もあり、来年達成するはずだった財政の健全化は遠のいた。

 20年後には高齢者数がピークに近づく。それに向けた社会保障をどう構築し、消費税率は10%のままでいいか。今後も議論は避けて通れまい。