国が昨年策定した第5次エネルギー基本計画は、地球温暖化対策のため、改めて「徹底した省エネルギー社会の実現」を掲げた。

 対象は製造、運輸など多分野に及ぶが、エネルギー消費の約3割は家庭や事業所の冷暖房、給湯、照明などが占める。温暖化対策を進めるパリ協定に基づく2030年度の国内の二酸化炭素削減目標(13年度比)は家庭、業務両部門で40%減。実現には、住宅や事業所という建物自体の省エネ強化が欠かせない。

 省エネ建築に関する国の施策には、エネルギー消費効率の良い電化製品や建材を普及させるトップランナー制度、省エネと太陽光発電を組み合わせ、石油など1次エネルギーの消費と生産を差し引きゼロかプラスにするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などがある。

 取り組みは道半ば。経済産業省はZEHの目標を「20年までに注文戸建住宅の過半数で実現」とするが、17年度実績は約23%。建売住宅では、ほとんど進んでいない。

 ZEHには補助制度があるものの、初期投資額が相対的に高い。ハウスメーカーと比べ、中小の工務店は社内体制や施工、営業ノウハウの不足が指摘される。

 国は新築の住宅・建築物について、20年までに省エネ基準への適合を義務化するとしてきた。しかし、ここにきてメインとなる住宅などへの適用は見送りの方向。現状の適合率が低く時期尚早が理由だが、県内の専門家からは「腰砕け」との批判が聞かれる。

 省エネへの姿勢が疑われかねず、国は背景を検証した上で、今後の方針を示す必要があろう。

 県中小企業家同友会のエネルギーシフト研究会が注目される。15年以降、省エネ建築やエネルギーの地産地消の先進地のドイツ、スイスなどを視察。会員が自宅や事業所をこだわりの高断熱、高気密で新改築する動きが出てきた。

 共通するのは「工費は余分に掛かるが、北国でも冬に暖かく快適」「ヒートショック予防など健康に良い」などの価値観。施工や資材納入を地元企業が担い、地域経済を活性化する好循環も思い描く。

 普通に暮らしながらエネルギーの消費を減らし、住宅としての資産価値も高まる省エネ建築の利点は大きい。

 普及には不足する広報啓発に加え、人工知能(AI)など技術革新による設備の高度化・低価格化、施工技術の底上げが必須。使い勝手の良い支援制度の構築も課題だ。

 省エネ建築は、機能性やコストの異なる資材、設備で構成され、専門性が高い。住宅購入は一生もの。販売に当たっては施主に対する丁寧で、適切な説明が特に望まれる。