一関市などが提唱し、東京五輪・パラリンピックの公認プログラムに採択された「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」。市は今春の締め切りを前に、小型家電の回収に精力的に取り組んでいる。

 使用済みの携帯電話やパソコンなどから金、銀などの金属を取り出しメダルに再生する取り組みで、住民が五輪に携わることができる貴重な機会でもある。さらに周知を図り、協力の輪を広げたい。

 市は、せんまや夜市での出前回収や役割を終えた防災行政無線の戸別受信機を回収。イベント・祭り会場に専用ボックスを設置するといった取り組みを進め、2017年度34・5トン、本年度は昨年10月末時点で20・5トンを回収。金メダル13個分になる。

 年末2カ月間の強化期間中は、市内60の事業所へ文書で協力を要請。小中学校の授業参観や文化祭での回収、広報誌やラジオでの周知などを繰り広げた。年が明けての賀詞交換会でも協力を呼びかけている。住民団体など民間の活動も積極的に後押しする。

 年末年始はボーナス商戦や初売りなどで買い換え需要が高まる時期。大掃除で不要となる家電もあろう。捨ててしまえば「ごみ」だが、再生すれば「資源」となる。回収量を増やす絶好期でもある。

 プロジェクトの参加自治体は17年4月の624から1520まで増加。昨年6月時点で銅は必要量が集まり、金は54・5%、銀は43・9%と順調に進んでいる。

 再生資源の活用は、拡大する五輪を「持続可能な五輪」に変革するきっかけともなろう。こうした取り組みは過去の五輪で例がない。

 大会の成功には、国民一人一人が関心を持つことが欠かせない。一方で、ボランティアなどで五輪に携わろうとしても、ハードルが高いのも事実。メダルプロジェクトは、多くの人が五輪を身近に感じるきっかけとなるはずだ。

 マルコ・ポーロが東方見聞録で日本のことを「黄金の国ジパング」と紹介したのは、中尊寺金色堂のこととされる。800年余の歳月を経て岩手から金メダルの話題を発信することは、世界に通じるストーリー性もある。

 地元の選手が五輪で活躍して、メダルを持って古里に凱旋(がいせん)する「金(銀、銅)の里帰り」が実現すれば、地域を元気づけることにもなろう。

 資源循環の重要性の意識付けは、今後の地域づくりにもつながるはずだ。未利用バイオマスの活用や家庭ごみの再利用・エネルギー化は、さらに重要性を増す。環境に優しい社会を実現する第一歩として、メダルプロジェクトのラストスパートを官民一体となって盛り上げたい。