故あって関わりを持つ盛岡地区の男女大学生に、今の国政をどう思うか自由記述で聞いてみた。最近の衆院選や参院選の投票率は、全国平均で30%台にとどまる20歳代が中心。漠然とした問い掛けとあって、反応はそれなりだ。

 答えてくれたのは30人ちょっとなのでデータとも言えまいが、若い世代が共有する意識の一端は見て取れる。

 直接的な言葉で現政権に批判的だったのは、3分の1に満たない。ただし、明確な支持も数は少ない。消極的な政権支持といった傾向が顕著なのは、共同通信などの世論調査と共通する。

 代表的なのは、次のような意見だ。

 「今の政府に満足してはいないが、野党がパッとしないから現状のままの方がまし」

 「野党の質があまりにも悪いため、与党を支持、あるいは投票を放棄している」

 そうした同世代の気分を総括するような論評も。

 「東日本大震災当時の民主党政権の負のイメージが続いている影響か、自民、公明の連立政権を黙認したり、無批判に信任する傾向が若い世代に見られる」

 「『政治の話』が触れてはいけないものみたいな風潮がある気がする」という感想もあった。人気タレントの政治的発言を巡り、ネット社会が過熱、炎上するケースは珍しくない。総じて政治への接し方に戸惑い、遠巻きにする雰囲気が感じられる。

 昭和から平成に元号が変わった1989年は、東西冷戦の終結を象徴するベルリンの壁崩壊と重なった。数年後には製造業の就業者数がサービス業に抜かれる。「ものづくり」が日本の高度成長をけん引した時代の終焉(しゅうえん)だ。

 さらに、この時期を境に国民の選挙熱が冷え込んでいるのは見逃せない。国政選挙の投票率は、平成に入り20代、30代を筆頭に各年代とも下降線を描く。

 歴史社会学者の小熊英二慶応大教授は、著作で「いわば日本は、冷戦安定期にもっとも栄えた国であり、冷戦後のグローバル化と国際秩序変化に対応できなかった国」と評した。そうした状況下で、相対的に政治への期待が減退したのは確かだろう。

 「1強多弱」の政治情勢は政権運営に安定をもたらす一方で、野党勢力の弱体化が政治的活動から活力を奪う面も併せ持つ。安定は達観と背中合わせと言えようか。その意味で「政治と国民に温度差がある」といった学生の認識は実感には違いない。

 だが、いつの世も時代をつくるのは若い力だ。今年は統一地方選と参院選が重なる亥(い)年選挙の年。くれぐれも達観に安住せず、まずは投票所に足を運ぼう。

(遠藤泉)