盛岡市の仙北中(佐藤亥壱校長、生徒582人)2年生は、国語の授業で「平家物語新聞」を制作し、古文に親しみ、学びを深めている。

 学習は「時空を超え、物語に潜入取材し、記事を書く」がコンセプトで、最終目標は、新聞を作り家庭に届けること。

 1学期の朝読書で平家物語の文庫本を読み、物語全体と場面の関係や描写の効果、登場人物の言動を把握。2学期に、那須与一(なすのよいち)が海岸から小船上の扇を射落とす「扇の的」を授業で学ぶ際、1学期に読んだ物語の気に入った場面を、報道記事、論説、コラム、人物評に分け、文章の種類を意識し180~400字で執筆した。

 トップは教科書の「扇の的」で統一。いつ、だれが、どこで―と報じ、そのほかに記事を1本以上書く。自分の記事を書き入れた紙面の開いた部分にはクラスメートの記事を貼り付けた。

 新聞には、与一や木曽義仲(きそよしなか)、祇王(ぎおう)ら登場人物の言動や心情に迫る記事が並ぶ。

 千葉歩実さんは「(記事を)書くために読むことで、物語がよく分かり文章をまとめる力がつく」、村田彩翔(あやと)さんは「友達の記事を読み、捉え方の違いが分かるし表現の勉強になる」と笑顔で新聞を仕上げた。多田春菜さんの作品を手にした母憲子さんは「難しい言葉を興味が湧くように書き、見出しも丁寧にレタリングしている」と感心する。

 長根いずみ教諭は「書くことを目的に物語を読むことで、古典への理解が深まり、興味へとつながる」と狙いを語る。

生徒が主導 NIEタイム

スクラップコーナーで、生徒主導のNIEタイムについて話し合う平野穂花さん(左)と川崎小雪さん

 仙北中のNIEタイムは新聞委員会が主導する。生徒総会で「社会に関心を持ち、深く考えるために必要だ」との意見が出たのがきっかけだ。

 月に1度、朝活動で実施。各クラス2人の委員が切り抜きを呼び掛け、全員から記事を集め実施日に配布する。1日目はA4判ワークシート「心に残った記事」に貼り、大切な部分に線を引き、2日目に要約、意見を記入。3日目は班ごとに意見を交わす。最後は委員が回収し、全校生徒のシートを廊下に掲示する。

 平野穂花(ほのか)委員長と川崎小雪副委員長は「生徒主体の活動で、新聞活用が学校ぐるみの取り組みになっている」「スクラップは社会への関心を高める機会」と意義を語る。


仙北中・長根いずみ教諭 古典への興味につながる

 平家物語新聞を指導する長根いずみ教諭に、狙いや効果を解説してもらった。

 「古典新聞」には15年ほど前から取り組み、5、6年前からは文章の種類を分けて書かせている。

 古典の世界に記者として潜入し、取材して友人や家族に伝える方法は楽しく、書く目的を持ち読むことで読解力が付く。多くの原文をまとめることは古典への興味に、論説文や人物評など文章の違いを意識し読み書きすることは学力向上につながる。

 レイアウトを統一することで、クラスで記事の交換が可能になる。良い点を評価し合う交流を通し、生徒はより良い表現を目指して原文や辞書から文言を探し、友人の文章にも敏感になる。「言葉の力」を高めていると実感している。

(談)