八幡平市の松尾八幡平地域で29日に地熱発電所が本格運転を開始するなど、このところ、エネルギーを巡るさまざまな動きが出ている。それらは、新たな時代への動きを加速しているように見える。

 象徴的なのが、原発の退潮を示すと言える海外計画の挫折だ。日立製作所が英国での新設計画の凍結を発表した。他国、他企業の案件を含め、日本の原発輸出は総崩れとなった。

 巨額の安全対策費が重荷になり、「安価な電源」ではなくなっている。その一方で再生可能エネルギーの発電コストが低下。コスト面での優位が揺らいだことが原発輸出を厳しくしている。

 時代は再生エネ普及にかじを切っている。ただ、手放しで歓迎される状況ではない。導入が進むにつれて課題も顕在化してきたからだ。

 その一つは、太陽光に偏っていることだ。整備しやすい上に固定価格買い取り制度導入時に高価格が設定されたためだが、発電コスト低減に伴い引き下げが続く。また、初期に高価格で認定を受けながら未運転の設備については買い取り価格を下げるなど是正された。

 環境破壊など負の面も現れた。国内で問題が相次ぎ、県内の事業でも懸念の声が上がる。背景には国の対策遅れがある。反省しなければなるまい。ようやく、大規模発電所を法律に基づく環境影響評価(アセスメント)の対象に加える方針を決めた。環境との調和が今後の鍵となろう。

 潜在力からすれば、今後の期待が大きいのは風力だ。陸上に加え、洋上設置を目指す動きが活発化。昨年、海域利用ルールを定めて開発を促す法律も制定された。

 本県でも多様なエネルギーが新たに導入され、計画が進められている。

 陸上風力は昨年、企業局が一戸町の高森高原で売電を開始。洋上風力は洋野町などで構想が進む。地熱発電所は八幡平市の安比高原西側でも事業が進められている。バイオマスは大船渡市の工場で年内の稼働を目指す。

 県内の消費電力量に対する再生エネ発電量(再生エネによる電力自給率)は、2010年度の18・1%から17年度は28・0%にアップした。導入を推進する県は「順調に推移しており、20年度の自給率35%という目標は達成できる見通し」としている。

 地域振興への波及効果も期待される再生エネだが、太陽光施設にみられるように、開発に際しての環境配慮が一層問われてこよう。発電拡大へは送電線網の増強も必要だ。

 課題は少なくないが、官民の協力で克服し、制度設計を点検しながら普及を図ってもらいたい。