先週末にJR盛岡駅から乗車した上り東北新幹線の出発が10分ほど遅れた。同駅で連結されるこまちに付着した雪を払うためだ。「大変ご迷惑をおかけします」と車内放送が繰り返された

▼日本では、発着が1分でも遅れると同様のアナウンスが流れる。そのつもりで外国の鉄道を利用して、戸惑った経験がある人は多いだろう。10分、15分の遅れは遅れのうちに入らない。遅れた理由も分からない

▼4年前、中国の高速鉄道に乗った時も驚いた。なんと予定時刻より3分早く上海を出た列車は、途中駅を5分ほど早く通過すると、その先の駅で時間調整して遅れ気味に出発。目的地の南京には定時に到着した

▼「多少のずれは気にしない」と利用客は言っていた。鉄道は正確に動くという常識は、日本以外の大方の国には当てはまらない。良しあしではない。世界には、時刻表通りでない鉄道を不便としない国柄もある

▼経済・経営ライターの三戸祐子さんは、定時運転は日本の環境が求め、進化させてきた-と説く(新潮文庫「定刻発車」)。それは運行側の努力だけでなく、混雑時などにも整然と振る舞う利用者があってこそ

▼同じ時刻、同じ場所を電車が通る。その日常が失われて8年。JR山田線宮古-釜石間で試運転が始まった。地域と鉄道の新たな歴史だ。大事に大事に積み上げたい。