盛岡市東新庄の内舘明子さん(45)は、日本舞踊花柳(はなやぎ)流の名取試験に知的障害者として初めて合格し、家元から「光明子(みつあきこ)」の名を受けた。ダウン症の明子さんは、花柳流師範の花柳美寿晴(みずはる)=本名・内舘満子=さん(73)の長女。日本舞踊が身近にある環境だったが、誰に教えられるでもなく、自然に舞踊の道を歩んできた。一人前の舞踊家に成長した明子さんを家族や周囲が優しく見守る。

 明子さんは、じっとしていることが苦手。何度も家を飛び出し、自宅近くで車にはねられたこともある。だが、自宅の稽古場で音が流れると、瞬時に舞踊家の顔になる。流れるような美しい所作。特に素晴らしいのが「間(ま)」だ。「間は日本舞踊の命。あきちゃんの間の良さは天下一品だ」と美寿晴さんがうなずく。

 名取試験に向けた他の弟子の稽古を見ていた明子さんが、自分も受験したいと意思表示。昨春から美寿晴さんが稽古をつけるようになり、秋に東京都内で行われた試験に臨んだ。

 長唄「松の緑」「潮来出島(いたこでじま)」を踊り、一発合格。五世宗家家元花柳壽輔(じゅすけ)さんから名取を認められた。試験後の免状式では家元から「頑張りましたね」と声を掛けられ、記念撮影。光明子の名は、父政光さん(72)から一文字もらった。