命を守ったつながり

 顔を見合わせ、守られた命の重さを確かめた。盛岡市月が丘2丁目の県営住宅備後(びんご)第1アパート。「みんなの声は聞こえたの。命拾いした」。住民の竹田昌佐(まさ)さん(76)の言葉に、民生児童委員の大石礼子さん(69)が、気恥ずかしそうにほほ笑んだ。

 大石さんは2年半前の出来事を、鮮明に覚えている。民生委員になり5年半がたった2016年7月。アパートの住民から「竹田さんのポストに4日分の新聞がたまっている」と連絡を受けた。すぐに駆け付けてチャイムを鳴らし、他の住民と名前を叫んだが、返事はなかった。

 「私、ここにいる。早く見つけて」。竹田さんはアパートにいた。横になって休んでいたところ、突然、「体全体から骨がなくなり、タコのような体になる感覚に襲われた」。電話の子機まで30センチ。しかし、手足に力が入らず、手が届かなかった。自分を呼ぶ声が聞こえ、ただ祈った。

 長期連載企画「ゆらぐ砦(とりで) 民生児童委員のいま」が20日付紙面からスタートしました。命をつなぐ「砦」の役目を託された民生児童委員の活動を通して、地域の支え合いのあり方を考えます。紙面を購入し、ご覧ください。