社会人になってからめっきり見る本数は減ってしまったが、映画鑑賞が趣味の一つだ。

 洋野町の二ツ屋地域づくり推進協議会(長谷川一雄会長)が昨年12月、同町阿子木の映画館「善映館」で映画祭を開いた。同館は一見、農作業小屋のようで事前に訪れたときは失礼ながら映画館だと全く気づかなかった。中も土間に長いすが並び、天井の低い2階席は中腰で進み座布団に座って鑑賞するという素朴さだ。

 「終わった人」(中田秀夫監督)の冒頭部分だけ鑑賞したのだが、隣に人の気配を感じながら映画を見るうち、子どものころの映画館の狭い座席や立ち見でぎゅうぎゅうになりながら蒸し暑い中、銀幕を楽しんだ記憶がよみがえった。

 昔と比べ、映画はDVDやネット配信サービスなど「個人」で楽しめるようになったが、映画館で隣の人が息をのんだりするのを感じながら「集団」で見るのも味の一つになるようだ。

 会場はみんなで銀幕を楽しんでいる雰囲気に満ち、笑顔であふれていた。長谷川会長が「ここは地域の財産。人が集まって楽しめる大切な場所だから多くの人が来てくれてうれしい」と語っていたのが印象的だった。今は映画祭の時にしか開かない同館だが、末永く続くよう応援したい。

(佐藤遼太)