平泉町の平泉近世古記録調査会(代表・千葉信胤(のぶたね)平泉文化遺産センター館長)は17日、同町で江戸時代の紀行家菅江真澄の新資料が見つかったと発表した。1786(天明6)年、藤原秀衡の六百年忌として中尊寺で開かれた歌会「冬懐旧(ふゆかいきゅう)」の詩歌を記録した冊子で、真澄の和歌が掲載されている。平泉地方の近世文化史を解き明かす貴重な資料にもなりそうだ。

 冊子は秀公六百霜懐旧志(しゅうこうろっぴゃくそうかいきゅうし)という表題の詩歌集で、漢詩34首、和歌110首、俳諧14句を掲載。詩歌の作者は判明しているだけで近隣の文化人ら約110人で、人物が特定されたのは61人。和歌の部巻頭に菅江の雅号「秀雄」、本名「三河岡崎白井英二」と共に秀衡をしのぶ歌が掲載されている。昨年5月、江戸時代の古記録を調査していた同調査会が町内の旧家で発見し、東京学芸大の石井正己教授の指導で分析した。

 秀衡の六百年忌は、菅江の紀行文「雪の胆沢辺(いさわべ)」に人々が中尊寺に詣で「『冬懐旧』と題して漢詩や和歌を奉った」と記載があり、今回の発見で紀行文の記述が裏付けられた。歌会自体が菅江の発案だった可能性もある。