スクラップや個人新聞が所狭しと張られた校舎から子どもたちの元気な声が響く。東京都北区立八幡小(市川由紀絵校長、児童119人)は、全校を挙げてNIEを展開し、朝の15分を使ったNIEタイムは1年生から取り組む。

 2018年度までの2年間は北区教育委員会研究協力校として「主体的・対話的で深い学びを通して、豊かに表現する児童の育成~NIEを通して」を主題に研究。研究発表会(18年11月30日)では全6学級のNIEタイムと授業を公開した。参観した清正(せいしょう)浩靖・北区教育長は「児童は考えを深め表現する力を高めている。区内に広めたい」と評価した。

 NIEは16年度に導入。算数指導を研究した際、児童が問題文を正しく読み取れずつまずく場面がみられ、読解力の向上へ言語活動の充実を目指したのがきっかけだった。

 6年生の宮内煌(きら)君、船戸麻衣さん、三浦明衣(めい)さんは「世界の出来事などを調べるようになった」「興味のなかったことに関心を持ち、話し合うようになった」などと述べ、NIEタイムを通じ学習が社会につながり、探究心や表現力が身に付くことを実感している。

丸めてつなぎ大変身

【1年】図画工作「しんぶんしで だいへんしん」の授業。丸め方やつなぎ方を工夫し体全体で新聞紙の大きさや変化した形を感じ、最後は校内をパレード。NIEタイムでは紙面からカタカナを探した。

新聞紙を使いイメージ通りに変身した姿で校内パレードに出発する1年生

動物の記事でクイズ

【2年】国語教材「ビーバーの大工事」でクイズの作り方を確認し「どうぶつのひみつをみんなでさぐろう」をテーマに動物の記事を読みクイズを作った。NIEタイムは4こま漫画のせりふを考える。

4こま漫画の最後のせりふを考える2年生。考えを伝え合い、感想を書く

印刷工場見学へ準備

【3年】社会「わたしたちのくらしと工場の仕事」で、新聞社の印刷工場見学に向け、紙面を開き、原料、作り方、機械、人の観点で質問を考えた。NIEタイムは記事からキーワードを八つ探し見出し付け。

新聞を1ページずつめくり、印刷工場見学に向けて質問を考える3年生

夢のロボット考える

【4年】国語「わたしたちの生活とロボットについて考えよう」で北海道胆振(いぶり)東部地震の記事を読み、人の心や生活に寄り添う「夢のロボット」に思いを巡らせた。NIEタイムはオリジナル見出しづくり。

北海道胆振東部地震の記事を読み、人の役に立つ「夢のロボット」を考える4年生

災害情報を読み比べ

【5年】社会「情報産業とわたしたちのくらし」で、西日本豪雨について、岡山県の地元紙と全国紙を読み比べ、各紙で情報や伝え方が違うことを学んだ。NIEタイムは見出しを使った川柳づくり。

地方紙と全国紙を読み比べ、見出しや記事、写真など伝え方の違いについてグループで話し合う5年生

切り抜き利用し提言

【6年】国語教材「町の幸福論」を読み、地域の記事をスクラップ。北区への提案を目指し福祉や観光などについて集めた記事を資料に話し合った。NIEタイムでは、グループで気になる記事を選び発表。

新聞スクラップで集めた記事を資料に、地域の未来像を話し合う6年生

読む力、書く力が向上

 八幡小は実践前の2016年と実践後の17、18年の北区基礎・基本定着度調査を比較しNIEの効果を検証。国語「書くこと」の平均正答率は年々上昇し、現5年生は3年生時に比べ13・7ポイント、現6年生は4年生時に比べ17ポイント上がり無回答も減少した。18年度全国学力・学習状況調査でも国語Aで「書くこと」「読むこと」、国語Bで「読むこと」の平均正答率が全国を4・6~7・2ポイント上回り、実践の効果と分析している。


 市川校長に聞く 学びつなぐ横の連携

 「全校NIE」の効果を市川由紀絵校長に聞いた。

(聞き手 読者センター・礒崎真澄)

 -NIEの狙い、効果は。

 「スクラップなどのNIEタイムは週1回でも読む力、書く力を付ける。答えがなく『(要約や感想を)書いてみよう』『書けるようになった』の繰り返し。視野の広がりや学習内容と社会のつながりを実感できる。命をテーマに、記事を基にした音楽づくりや図画工作、理科の災害学習などを行っている。NIEタイムも使い、教員の横の連携で、子どもの学びをつなげている」

 -低学年からの実践だ。

 「1年生でも、カタカナや写真など今ある知識で想像し、だいたいの内容をつかめる。大人が『読めない』と判断せず、触れさせることが大切。方法はたくさんある。読解力のほか、思考力、判断力、表現力が付く」

 -活動の継続やマンネリ化防止のコツは。

 「生徒も教員も、無理なく、楽しく、地道に行うことで継続できる。記事は毎日違い、子どもたちには毎回新しい気付きがあり、マンネリ化はしない」