「働き方改革関連法」が施行される今年は、「改革元年」と位置付けられる重要な節目となる。現場では、運用を巡って戸惑いが生じることも十分考えられる。企業は制度をしっかり把握して臨み、準備を怠りなくしたい。

 4月施行の項目の一つは、残業時間の上限規制。労使協定を結べば長時間働かせることができ、特別条項を付ければ事実上の青天井も可能になっていたのを改める。上限を設け、違反した企業には罰金などを科す。まず大企業で適用され、中小企業には1年間の猶予がある。順守を徹底しなければならない。

 ただ、「特別な事情があっても月100時間未満」などの天井が設けられたとはいえ過労死ラインぎりぎりの水準だ。企業には一層の抑制努力が望まれる。残業時間分を補うためには業務の効率化、生産性向上が求められる。

 一方、労働者からは、残業代が少なくなると生活が苦しくなるとの声も聞かれる。業務効率化や生産性向上に伴う「果実」をきちんと社員に還元することを使用者に求めたい。

 いずれ、残業抑制は喫緊の課題。岩手日報社の県内企業景気動向アンケート調査(対象63社)によると、ほとんどの企業が働き方改革に注力する中で特に取り組むのが長時間労働の是正だ。

 全国と比べて労働時間が長く賃金水準が低い本県は相対的に働き方改革の重要性が高まる-と岩手労働局が指摘するように、着実な実践が望まれる。労働者の健康を守る上で必要なのはもちろん、人手不足解消の要素となる。

 4月からはこの他、勤務間インターバル制度の促進、年次有給休暇の消化義務が企業に課される。

 一方、懸念が強いままの高度プロフェッショナル制度も始まる。労働時間規制の対象から一部専門職を外す同制度。金融商品アナリストなど5業種に適用し、年収も1075万円以上を条件とすることが決まった。

 心配されるのは、対象業務を規定するのは省令で、国会審議を経ずに変更できることだ。過労死防止の観点から条件緩和は慎まなければならない。

 改革を先取りする動きも出ている。同一労働同一賃金は大企業で来年4月から、中小企業はその1年後に義務付けられるが、物流大手の日本通運が前倒しで今春導入する。フルタイムで働く非正社員について、転勤のない正社員(エリア職)と同じ賃金体系に切り替える。深刻な人手不足が背景にある。

 働き方改革は企業の意識変革を問う。よりよい改革が魅力アップや成長につながると考えたい。