「家賃が高い」。借家暮らしの人にとっては少しでも安くしてほしいもの。もっとも、相撲界でその表現が意味する内容は異なる。「番付にふさわしい実力がまだ備わっていない」ことだ

▼番付の下位で大勝ちし、翌場所上位に上がっても、大負けしてしまう場合などに言う。郷土力士・錦木にとっては前頭上位はもう家賃が高い地位ではあるまい。先場所上位で見事に勝ち越し、さらに1枚上げた

▼先場所の取組でテレビ解説者は錦木について「大化けした」と評していた。相手の攻めを重い腰で残し、腕力を効かせた豪快な取り口が観客を沸かせた。初日、二日目と当たる大関陣も警戒を強めているだろう

▼こちらは徳俵に足が掛かった状態か。横綱審議委員会から異例の「激励」決議を受けた稀勢の里も出場する。横綱は負け越しても地位が下がらないが、責任が果たせない場合は引退あるのみ。奮起を期待したい

▼一般社会に目を向けると、安定した地位にある人たちが、不安定な人々の生活に影響を与えていた。厚生労働省の毎月勤労統計の不適切調査だ。失業給付や労災保険の過少支給などが、延べ2千万人近くに及ぶ

▼他の労働データでも不適切な処理があった。なぜ起きるのか。重要政策に関わる担当者たち。相撲界で言う「家賃が高い」わけではあるまいに。自覚を高めてほしい。