東日本大震災から8年となる2019年。本県では3月に三陸鉄道リアス線が全線開通、6~8月に三陸防災復興プロジェクト2019、9~10月にラグビーW杯が開かれる。この特別な年に、釜石から、三陸から、そして東北全体から「ありがとう」の気持ちを世界に発信する活動が「#Thank You From KAMAISHI」。▽三陸鉄道の車両や鵜住居駅の装飾▽ホタテを使った巨大壁画「ありがとう貝画」▽感謝の歌とPRビデオ制作-の3つのプロジェクトが進んでいる。釜石市の児童生徒、市民を中心に、スマイルとうほくプロジェクト(岩手日報社、河北新報社、福島民報社主催、花王特別協賛)や三陸防災復興プロジェクト2019実行委、釜石市など多くの団体が関わる復興支援への感謝の動きを紹介する。

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巨大壁画や歌、ビデオ制作 貝殻5000枚使い大作

一つ一つ心を込めて、貝殻に色を塗るかまいし絆会議のメンバー=2018年12月26日、釜石中

 釜石市内の全14小中学校が参加する「かまいし絆会議」は、ラグビーW杯が開催される釜石鵜住居復興スタジアムに三陸防災復興プロジェクト2019の一環として設置する巨大壁画、感謝の歌とPRビデオの制作に取り組んでいる。

 壁画は縦2.5メートル、横12メートル。ホタテとアカザラガイの貝殻約5千枚に色を塗って張り付けるモザイクアート「ありがとう貝画」だ。各小中学校からモチーフに入れたいものを募集。ラグビーボールやSL銀河、虎舞など釜石を象徴するものを、大漁旗風のデザインの中に組み込む。3月に児童生徒や市民が参加する制作イベントを経てスタジアムに設置され、夏ごろ除幕イベントを行う。

巨大壁画「ありがとう貝画」に使われる、虎舞、SL銀河、ラグビーボール、カモメ、釜石大観音、製鉄所のモチーフ

 感謝の歌のタイトルは「ありがとうの手紙#Thank You From KAMAISHI」。各小中学校からフレーズを募り、専門家の助言を得ながら曲に仕上げ、昨年12月26日の同会議で発表された。

 歌・PRビデオ部会でリーダーを務めた千葉菜々子さん(釜石中3年)は「家族、友達、震災後に心を寄せてくれた人、ラグビーW杯開催に力を尽くす人たち、みんなに『ありがとう』の思いが伝わる歌ができた。改めて多くの方々に支えられて今があると感じる」と感謝する。

 今後はW杯に合わせて歌を披露することを目標に練習を重ねる。PRビデオもこの歌を基に制作される。

 釜石市教委学校教育課の和田智恵指導主事は「震災を経験した子どもたちが感謝を伝えようと主体的に行動する姿に成長を感じる。今年は各中学校区でW杯に向けたおもてなし活動などが本格化するので、各校でもリーダーシップを発揮してほしい」と期待する。

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三鉄にみんなの笑顔を 釜石東中生が考案

ラッピング車両のデザインとなる「笑顔」を描く釜石東中の生徒=2018年9月25日、釜石東中

 鵜住居駅に近い釜石東中(佐々木賢治校長、生徒117人)では、スマイルとうほくプロジェクトの一環として、三陸鉄道のラッピング車両や駅の看板などをデザインする授業が行われている。

 「2019年、釜石を訪れる世界中の人に、どうしたら感謝の気持ちが伝わるか」-。生徒たちは昨年末まで14コマに及ぶ授業の中で、思いを形にする難しさに挑戦してきた。

 その結果、車両のデザインは一人一人が描いた「感謝を表す笑顔」の絵をつなげたデザインに決まった。

 現在、3年生は鵜住居駅の愛称看板づくりに取り組んでいる。同駅の愛称「トライステーション」は、17年度の同授業で先輩が考案したものだ。

釜石東中の生徒が描いた「笑顔」と各国の言語で「ありがとう」が散りばめられた三陸鉄道ラッピング車両のデザイン。3月のお披露目を予定している。

 昨年12月の授業では、グループごとにデザイン案を議論。「ぱっと見てハッピーになれるような駅」をコンセプトに図案化した佐々木里桜(りお)さん(3年)は「震災前の学校の宝だった桜並木など、四季折々の花が咲き誇るまちになってほしい」と願いを込めた。

 今後は生徒の案を基に、盛岡情報ビジネス専門学校の学生がデザインを仕上げる。また、今月からは1、2年生が駅舎の壁面装飾をする授業も行われる。

 授業の講師を務める花王の椎木一郎・パッケージ作成部F&HC部長は「一人一人の思いを一つのデザインにする道のりは最初は険しいものだったが、生徒たちの成長ぶりは釜石の新しい未来を目の当たりにしているようだ。今年も皆さんとさらなるトライを続けたい」と話している。