先日亡くなったプロ格闘家の山本KID徳郁さんの父親は1972年ミュンヘン五輪のレスリング代表だった。優勝候補といわれたが、不可解な判定で敗れメダルには届かなかった

▼同五輪といえば、多くの死者を出した武装ゲリラによるテロ事件を思い出す人も多いだろう。当時の紙面を見ると、パワハラ問題で世間を騒がせている体操の塚原光男氏の活躍が大きく報じられている。月面宙返りは強烈な印象を残した

▼そんな中で目を引いたのが、女子バレーボールのすさまじい練習ぶりを海外メディアが報じた記事だ。疲れ果てて倒れた選手に何度もボールを投げつけ、選手は逃げる力もなくすすり泣く。涙でぬれた顔に、さらにボールが飛ぶ

▼監督に「あなたの奴隷の中で反抗する者はいないのか-と聞くと、これが一番の方法。彼女たちはほかの方法を知らないからね」と笑って答えたという。記事は監督を激しく非難している

▼こうした練習で日本はメダルを重ね、汗と涙のスポ根物語は美談となる。指導者の中で「成功体験」として受け継がれてきたのではないか。最近のスポーツ界のパワハラを考えると、そんな思いを強くする

▼スポーツには「遊び」の意味もある。きょうは一関国際ハーフマラソン大会。疲れたら歩いてもいい。自分のペースで楽しく走りゴールを目指してほしい。