世界的な減収懸念を背景とする小麦の価格高騰で、県内の食品メーカーも我慢を強いられている。国が定める輸入小麦の政府売り渡し価格は10月期からこれまでより2・2%上昇し、引き上げは昨年4月期から4期連続となる。パンや麺の製造原価は跳ね上がっており、各社とも配送の見直しなど工夫を重ねてしのごうと懸命だ。国内有数の食の産地という強みを生かして地場素材を使った商品開発も進め、逆風下でも踏ん張っている。

 中華麺などに輸入小麦を使う釜石市の製麺業川喜(川端力社長)は、燃油高や人手不足による輸送費増も重なり、1食当たりの原価は2年ほど前と比べ2~3円上がった。小麦価格はじわじわ上がったため価格転嫁しにくい。売り上げの約7割を占める首都圏や関西向けの配送系統を見直すなど経費圧縮に努める。

 パン製造の盛岡市の白石食品工業(白石雄一社長)は、国内大手が7月から値上げに動いたため、これに連なるかたちでスーパーなど流通側に価格見直しを要望。それでも配送費に加え、マーガリンなどの油脂類や乳製品など原材料の多くが値上がりし、まだまだ苦しい。

 我慢が続く両社だが「次の手」は打っている。鍵は地場素材だ。白石食品は農研機構東北農業研究センター(盛岡市)が開発した小麦「もち姫」を紫波町の生産者と連携して栽培。昨年は年間10トンを買い付け、同社が営む盛岡市向中野のパン店「PanoPano(パノパノ)」のパンに使っている。特有のもっちり感とうまみが人気で、同社は来年にもスーパーなどに販路を広げる考えだ。

 川喜は釜石市北西の和山高原にある11・5ヘクタールで10年ほど前からソバを自社栽培。これで打った無添加の「いわて南部地粉そば」は素材の風味を楽しめるとして、首都圏の高級スーパーで人気を集め、指名買いも多い。輸入小麦価格が高騰する中、そばに加えうどんや中華麺でも、県産や国産素材にこだわり保存料無添加の商品開発などを加速している。