社会保障は医療保険、生活保護、社会福祉、年金、介護保険など多岐にわたる。その歴史をたどると自助、共助の役割の大きさに気づく。国が保障してくれるのを待っていたわけではない

▼先日、92歳で死去した精神障害者家族の男性をしのぶ会が盛岡市内で開かれ、出席した。障害者の自立のため、弁当を作り販売する福祉作業所を長らく運営。行政への働きかけ、家族会の立ち上げにも尽力した

▼作業所への出勤は午前1時半。耳が遠くなっても、ラジオをガンガンかけて総菜作りに励んだ。しのぶ会では、作業所利用者を身内のように大切にしていたことなど、温かい人柄を物語るエピソードが語られた

▼生前、ずいぶん酒を飲ませてもらった。「障害者や家族は悲惨な目に遭った上に、その悲しみや苦しみを誰にも話せない。だからこそ、つながりを発展させなければならない」。力強い語り口が心に残っている

▼社会保障が、自民党総裁選の争点の一つとなった。連続3選を果たした安倍首相は「3年間で全世代型の社会保障改革を実現する」と強調。「人生100年時代」に向け、高齢者の雇用改革を進めるなどとした

▼貧弱な社会保障を補ってきた先人の労苦を忘れてはならない。障害福祉、子どもの貧困、ひきこもり高年齢化などに総合的な対策を講じてこそ、公正な改革と言える。