NIEに力を入れ6年目、効果を上げる東京都北区立滝野川小(大瀧浩之校長、児童495人)は毎週金曜日の朝学習(15分間)を「NIEタイム」に充てる。14日も全校で行われ、5年生が記事の切り抜きと要約・感想の記入、隣の教室では6年生がワークシート、3年生はスクラップ新聞作りに取り組んだ。

▼15分で読み書き

 5年2組の児童は教室の新聞箱から一部一部手に取り席に着いた。NIEタイムでは、北区の事業で学校に毎朝数十部届けられ、各クラスに2部ずつ配られる4、5社の新聞を1週間分ためて使われている。

 児童は、ぱらぱらとページをめくり、見出しやリード文に目を通して気になる記事を切り取り、A4判のスクラップブックに貼り付けた。新聞社名、掲載日を記入し、要約と感想を空きスペースに書き込む。時間内に約半数の児童が仕上げた。

 NIE担当で担任の水木智香子教諭(28)は「5年生になったばかりのころは1人も時間内に終わらなかった。卒業するまでに全員ができるようにしたい」と2年計画で取り組む。

 児童が選んだ記事は、大坂なおみ選手の全米テニス優勝や北海道震度7地震など。関口真緒さんは「世の中が分かる新聞はためになる。筆者と自分の考えを比べながら読むのが好き」、岡田真心(まさし)君は「テレビと違いいつでも手にとって読めるし、見出しで、ぱっとニュースが分かる」と新聞を読み込んでいた。

▼スクラップ新聞

 3年2組は1校時目の国語の時間と合わせスクラップ新聞を作った。

 八つの班がくじ引きで▽動物▽笑顔▽災害▽外国▽漫画▽景色や植物▽スポーツ▽食べ物-のテーマを決め、各班ごとに記事や写真を切り抜いた。レイアウトを決め画用紙に貼り付け感想や題字を書いて完成だ。

 担任の浦野煕(ひかる)教諭(25)は「NIEタイムは小学生新聞の読み取り、要約、感想が中心。新聞を読む活動で社会への興味、新聞作りで書く力、構成力が育っている」と説明する。

 関陸斗君は「難しい漢字や言葉の意味が分かるようになった」と学びを実感。前田楓さんは「知識が身に付き、新聞がどんどん好きになる」、森次奏水(かなみ)さんは「NIEタイムは、学級新聞作りの参考になる」と新聞に親しんでいる。

学力調査で顕著な効果

 

スクラップ新聞に貼る記事を探し、新聞から切り抜く3年2組の児童

滝野川小は2014、15年度「NIEの日常化と教材開発」を研究。自治体と民間企業が連携し行う学力調査で顕著な効果が表れた。NIE開始前の13年度、全国平均を10・1ポイント下回っていた同年度4年生の「国語・書くこと」の平均正答率は実践後、翌年度の5年時10・4ポイント、6年時には3・3ポイント上回り、2年間で13・3ポイント上昇した。

 全国学力・学習状況調査でも、全国平均を6・6ポイント上回った13年度6年国語B(活用)が14年度9・9ポイント、15年度8・6ポイントと上回り幅を拡大。6年算数B(活用)も同様の結果が出た。本年度は同国語B(活用)で全国平均を11・3ポイント、同算数B(活用)は18・5ポイント上回った。前校長で日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんは「NIEタイム継続の効果が表れている」と評価する。


 水木智香子教諭に聞く 実用的読解力培う

 滝野川小でNIE担当を務める水木智香子教諭に、NIEタイムの効果や継続の秘けつを聞いた。

(聞き手読者センター・礒崎真澄)

 -NIEタイムの狙い、効果は。

 「新聞を読み、理解し、考え、書く積み重ねは、言語能力を向上させる。文学作品では身に付かない『ざっくり読む』実用的な読解力が培われ、読み解く力がつく」

 -工夫している点は。

 「週1回、15分の短い時間の繰り返しで、限られた時間内にまとめる力がつく。初めは時間がかかるが、次第に慣れ成長を実感する」

 「低学年で新聞に親しみ文字に興味を持たせ、中学年では児童の興味に沿った記事を選び、高学年で記事の内容に迫るなど学年に応じて取り組む。5年は児童が記事を選び要約と感想、6年では教員が生徒に考えさせたい記事でワークシートを作り意見も書かせる」

 -継続の秘けつは。

 「時間割に組み込むこと。本校は金曜の朝学習。教員のアンテナが高まり『この記事読ませたい』『この記事どう』と話題になる。児童が新聞を嫌いにならないように余裕を持った計画も必要だ」