17日は敬老の日。岩泉町門(かど)の山岸吉男(よしお)さん(80)は、29、30両日に同町で開かれる第32回南部牛追唄全国大会に約30年ぶりに出場する。幼い頃から唄に親しみ、地域の「先輩」らに後押しされて再挑戦を決意。2016年の台風10号豪雨で自宅が被災し、日々の生活の中にはいまだに被災の跡が残るが、「落ち込んでばかりいてもしょうがない」と、古里への愛を歌声に込める。

 再挑戦のきっかけは、数年前に通い始めたデイサービス。90歳近くの「大先輩」たちから歌声を褒められることも多かった。「自分はいい年だと思っていたけれど、『まだ』80歳だ」と刺激を受け、知人の元チャンピオンの下で練習に励んでいる。

 台風10号豪雨では自宅前の沢があふれ、「庭がそっこり川になった」。大量の土砂が庭に入り込み、自宅は床下浸水。被災から2年余りが過ぎたが、周囲の道路や生活橋は完全には復旧しておらず、傷痕が残る。6日未明の北海道胆振(いぶり)東部地震や、7月の西日本豪雨も人ごととは思えず、心を痛めている。

 山岸さんは「早く道や橋が直ってほしいと思うけれど、いつまでも落ち込んでいてもどうにもならない。順位は関係なく、岩泉のお祭りのような気持ちで自分なりに楽しみたい」と、朗らかにうたう。