8月に急逝した翁長雄志知事の後継を決める沖縄県知事選は、安倍政権が支援する前宜野湾市長の佐喜真淳氏と、翁長氏の支援母体「オール沖縄」勢力が擁立する自由党衆院議員の玉城デニー氏の事実上の一騎打ちが確定した。

 争点は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対した翁長県政を引き継ぐか否かに絞られよう。

 翁長氏は亡くなる直前、前任知事が許可した辺野古沿岸部での埋め立て承認の撤回を表明。その遺志を引き取る形で県が正式に撤回したのを受けての選挙戦だ。政府は法的な対抗措置を取る方針で、前哨戦から不穏な空気が漂う中での告示となった。

 告示直前に地元記者クラブが主催した討論会で、佐喜真氏は普天間飛行場の早期返還を訴え、玉城氏は辺野古移設の阻止を主張した。

 米軍普天間飛行場は宜野湾市のど真ん中にあり、市域の約4分の1を占める。住宅や学校などの公共施設が隣接して、かつて米側も「世界一危険」と認めた飛行場だ。

 早期返還の必要性そのもので、両者に意見の相違はあるまい。見解を分けるのは、その代替基地として辺野古移設を認めるか否かだ。

 翁長氏の遺志を継ぐ玉城氏は、沖縄への新基地建設を認めない立場で移設に反対。佐喜真氏は明言を避けている。

 宜野湾市長当時の佐喜真氏は「普天間周辺の危険除去」を最優先に、辺野古移設に賛成とは言わないまでも否定しなかった印象がある。今選挙では公明党の支援も得ているとあって、発言に殊更慎重になっているのだろう。同党の沖縄県本部は、辺野古移設に反対しているからだ。

 先の討論会でも、埋め立て承認を巡る国県の対立を「注視する」と言うにとどめた。国の方針に、少なくとも反対でなければよしとする政権の意向が透ける。2月の名護市長選で移設反対派の現職を破った与党系候補も、自らの考えは明確にしなかった。同様の選挙戦術を描いているのは想像に難くない。

 「勝てば官軍」は、150年前の戊辰戦争の「教訓」だが、翁長氏が移設推進派の現職を大差で破った4年前の知事選で、政権は「負けても官軍」の姿勢を堅持。その民意を顧みず、辺野古移設の取り組みを加速させてきた。

 安全保障は国の専管事項ではあるが、地元に対立と分断をもたらすようでは「国を守る」意味が疑われよう。

 辺野古移設で日米が合意して20年余。日本の安全保障や在日米軍を取り巻く状況も変化する中で、今なお「辺野古移設が唯一の解決策」とする必然性はあるのか否か。今選挙戦で、国民注視の争点をぼかす選択肢はあるまい。