定期的に内容が変わる「Maho―ROBA定食」

 栄養バランスが取れたおかずと、真っ白でほかほかのご飯。盛岡市の食堂カフェ「Maho―ROBA(まほろば)」では、元大学教員で管理栄養士の菊池眞帆さん(48)が、「身体(からだ)も心も健やかに」をコンセプトに定食やフルーツサンドを提供している。米は東日本大震災で流失した大槌町の実家で見つかった稲穂から育てた「大槌復興米」を使用。食事を通して「被災地に目を向けてもらえたら」と願っている。

 子どもの頃から料理やお菓子作りが大好きだった菊池さん。「いつか自分の好きな環境で自分らしいお店を出せたら」と漠然と考えていたが、「これまでの知識と経験を生かしたい」「お膳という形で、『見えるテキスト』を提供したい」と2017年9月、管理栄養士課程の大学教員を退職。18年3月に同店をオープンした。

 ランチの「Maho―ROBA定食」(税込み1188円)は、2週に1度メニューを変更。見た目や香りなど、五感全てで満足できる食事を心掛ける。主食・主菜・副菜・汁物をそろえ、使用する食材は20品目ほど。朝晩が涼しくなってきた9月前半は、こってりした味付けの「サワラの味噌(みそ)マヨ焼き」をメインに、ホクホクとした食感の「焼き芋とお豆のサラダ」を添える。みそ汁は煮干しでだしを取り丁寧に。「『全部食べたい』と思ってもらえることが大切」と、食器や箸置きなどにも気を配る。管理栄養士に直接聞けるとあって、来店客からは作り方を質問されることも多いという。

「店の守り神のような存在」の「大槌復興米」

 店を開くなら復興米を使うと決めていた。11年秋、母妙さん(77)が実家跡地に実った3株の稲穂を発見。周囲に水田はなく、どこからか流れ着いて海水をかぶった地で生き抜いていた。菊池さんは「連絡を受けたときは鳥肌が立った。あんなところに稲が育っているなんて。命の強さを感じた」と振り返る。種もみはNPO法人遠野まごころネットなどの支援を受けて育てられた。

 店内には妙さんが「貸してくれた」1株を飾っている。復興米を目当てに訪れる人は多く、「盛岡に住んでいると震災の話を聞く機会が少なく、寂しかった。でもみんな興味がないわけではなかった」と気付かされた。沿岸出身者と思いを語り合うこともあり、店が震災の記憶を分かち合う場になっていると実感する。

 今後は弁当作りのセミナーなどに力を入れたいと計画中。「普段の暮らしに生きるような発見や気づきを提供したい。家でもやってみようと思ってもらえたら」と笑顔を見せる。

memo 食堂カフェ「Maho―ROBA」は盛岡市菜園1丁目8の20八光ビル1階。営業時間は午前11時から午後6時半まで(ランチは午前11時から午後2時半まで)。定休日は日曜、第2・4月曜。電話は019・613・6252。「サワラの味噌マヨ焼き」などは15日まで。メニューの詳細や営業日については同店のインスタグラムで知ることができる。