新聞効果しっかり

 盛岡市と大槌町で7月26、27日に開かれた第23回NIE全国大会盛岡大会は、県内16校の教諭らが公開授業や実践発表で新聞活用や新聞作りを通した学習を提案した。参観者と活発な研究協議も行い、深い学びを育む新聞の有効性を再認識した授業者、発表者に、大会の感想や今後のNIE活動の充実に向けた意気込みを聞いた。


洪水学習、地域防災に

盛岡・本宮小 山内 和子教諭(50)

 6年1組31人が洪水の記事を読んで学んだ知識を基に、本宮地域でも生かせる対策を議論し、自分の考えを深められるようにした。たくさんの参観者がいる中、堂々と発表してくれた。新聞記事は災害を自分事としてとらえ、問題点を掘り下げられる。今後は近くの河川や避難所を見学して、これまでの学びと結びつける。

震災の切り抜き成果

盛岡・松園小 中嶋 一良教諭(50)

 NIEの取り組みを多くの方に認めていただきうれしい。児童は震災当時は幼稚園児だったので、震災関係の新聞をスクラップし、その成果が今回の授業につながった。大勢の参観者がいたが、子どもたちはいつも通り自分の言葉で思いを述べていた。NIEで児童の書く、読む、表現する力が伸びたと感じている。

時間や距離、埋める力

盛岡・岩手大付属小 関戸 裕教諭(42)

 歴史の授業において、新聞は時間や距離のギャップを埋める。研究協議で「授業のヒントを得た」と感想をもらい、新聞を使って良かったと思った。助言の先生方から新聞活用の後押しがあったので、児童の力がつくようなものがあれば、これからも取り入れていきたい。子どもたちは普段通り集中して授業に臨んでくれた。

紙面に触れる大切さ

盛岡・仙北中 長根いずみ教諭(60)

 公開授業の司会進行を自ら務めるなど生徒たちが意欲的に学習に取り組んでくれた。学校ではお気に入りの記事のスクラップなどに取り組んでおり、生徒の新聞への関心は高まっている。子どもに興味を持ってもらうためにはまず紙面に触れることが大切だと思う。これからも新聞を活用し、生徒の読む力、書く力を磨いていきたい。

読み手を意識し発信

盛岡・岩手大付属中 中村 正成教諭(38)

 「新聞で発信しよう、私たちの声」をテーマに国語(教科横断)の授業を公開した。3年生が学習旅行で福岡県を訪れた体験を記事にまとめ、岩手日報と西日本新聞(本社福岡市)に掲載する。紙面の向こうの読者を意識することにこだわった授業展開を大切にした。生徒が地元を見直す視点を持ち、古里の地域を考えられるようになってほしい。

教員38年、感動の授業

矢巾・不来方高 畠山 政文教諭(60)

 新聞は信頼性のあるメディアと感じている。公開授業は芸術学系の3年生が震災前後の新聞を読み込み、絵画や彫刻、デザインなどの分野で復興を表現する作品を制作し、合唱するため記事に曲をつけた。小学生だった生徒が当時の新聞を読み、感じ直したことは大きな意味がある。教員を38年間してきたが、こみ上げるものは大きかった。

ビジネスヒント満載

盛岡・盛岡商高 椛沢 和歌教諭(44)

 商業高校でビジネスやマーケティングについて学ぶためのヒントは新聞にあると改めて思う。さわや書店の取り組みについて学ぶ授業を展開し、生徒は一生懸命に取り組んだ。本を紹介するPOP(ポップ)広告作りを生徒にさせたら想像以上に本格的なものを作ってくれ、驚いた。普段から記事を通じて身近な話題を学習してほしい。

古里見直すきっかけ

岩手・沼宮内高 山下 佳子教諭(44)

 防災学習を通して、生徒たちは古里の良さを見直すことができた。お互いに意見を出し合うことで、相手の気持ちを理解することもできる。大勢の人が公開授業を見守り、緊張していた生徒もいたが、普段以上に集中して議論を交わした。社会に出たら自分の意見を述べる機会も多い。全国大会をきっかけに自信をつけてもらえればうれしい。

算数伝える言葉吟味

岩泉・岩泉小 西川 亮教諭(44)

 算数で学んだことを新聞のように順序立ててまとめる取り組みをしている。どう評価を進めるか難しさはあるが、記述式問題の空欄が減るなど児童の成長が見られる。文章をまとめる際に使う言葉を吟味し、伝える力をもっと高められるように工夫を凝らしていきたい。取り組みを全国に知ってもらういい機会になった。

記事活用へ視野広く

盛岡・緑が丘小 野月 一隼教諭(37)

 昨年度まで勤めていた岩泉小の取り組みを発表した。同校は算数で理解した内容を新聞のようにまとめて学習を深めている。算数以外でも新聞はいくらでも活用できると思う。どのようにしたら活用できるか視野を広げて考えることが大切ではないか。新聞の活用に悩む教員は多い。発表が少しでも参考になればうれしい。

深く考えられる教材

一関・磐井中 阿部 信博教諭(45)

 新聞を使った授業を担当したのは本年度が初めてで、新鮮であり勉強になった。新聞記事は課題テーマの導入場面で効果的に活用できる。各新聞社の論調の違いを読み比べることも学習材料として有効だ。授業後に生徒に聞くと「さまざまな視点から問題について深く考えることができた」など好意的な感想が多かった。

「誰でも実践」目指す

花巻・花巻東高 夏井 友也教諭(44)

 新聞への意見投稿を活用した、表現指導の成果と現状について実践発表した。異動がない私学の特長を生かして、どんな先生でも実践できるよう組織的に取り組んでいる。参加者が多く、意見投稿によるNIEへの関心の高さを感じた。さらに投稿数を増やすとともに、生徒の進路実現に生かせるように発展させたい。

風化防ぐ被災地開催

大槌・大槌高 鈴木 紗季教諭(37)

 実践発表を通して、日頃の生徒の頑張りを伝えることができた。担当の英語だけでなく、他教科の教諭も見学に来てくれ、貴重なアドバイスをいただくことができた。全国大会は大槌町でも開催したため、多くの人が訪れてくれた。東日本大震災の被災地の現状を理解してもらうことが風化防止につながると思う。

復興缶詰、自主性培う

宮古・宮古水産高 村上 美香教諭(26)

 新聞記事を通じ生徒が災害時の缶詰の有用性を知り、地元の小中学校と連携して復興缶詰を作った。小学生がラベルを描き、中学生がレシピを考案。NIE全国大会の場でしか購入できない貴重な商品となった。自主性を育み、水産業や防災について考える機会になったと思う。今後も本校で製造する缶詰の発信方法を考えたい。

小中高連携、関心高く

久慈・久慈東高 原田 智生教諭(40)

 新聞で生徒が自然災害について学び、地元の小中学生に教えることで小中高が連携した復興教育に取り組んでいる。新聞を作り、地元での災害を想定して避難場所を考察することで防災への理解を深めた。活動は地域の結びつきを強めることにもつながっている。発表し、NIEを通じた小中高連携への関心の高さを感じた。

社会への興味広がる

盛岡・盛岡聴覚支援学校 千葉 信子教諭(59)

 中学部の生徒が復興や防災をテーマに取り組んだ壁新聞作りの成果を発表した。新聞に触れることで、被災地への関心だけでなく、社会への興味を広げることができたことも報告できた。新聞記事は何度も読み返すことができ、考えを深められる。今後は新聞活用を発展させ、自分の考えや感想を表現する力を高めたい。

多くの声を活字から

大槌・大槌学園 多田 俊輔教諭(32)

 大槌の復興に携わる人を取り上げ、苦労があったからこそ願いや努力につながったという考えが生まれたことが良かった。震災で学級の半分以上が家を失い、家族を亡くした児童もいる。向き合いがつらいこともあると思うが、新聞を活用してたくさんの記事に出合い、多くの人の声を聞いて自分の思いを深めてほしい。

「全員語り部」が目標

大槌・大槌学園 武田 啓佑教諭(32)

 複数の記事から大槌とのつながりを見つけたり、自分にできることを探し出し、自分の経験を踏まえて未来について考えることができた。古里の復興を自分事として考え、自分の言葉で発信することを目標にしている。引き継いだ思いと自分自身の思いを合わせ、全員が「語り部」として伝えられるようになってほしい。