【愛媛県で報道部・山口智】西日本豪雨は、全国有数のミカン産地、愛媛県に深刻な被害をもたらした。海からの照り返しの恩恵を受ける急傾斜地のミカン畑は、各地で大規模に崩落。まず生活復旧が急がれ、農道も土砂で埋まっているため、被害の全容がいまだにつかめていない。「かんきつ王国」はかつてない厳しい状況に置かれている。

 「愛媛ミカン発祥地」とされる宇和島市吉田町。本県と同じリアス海岸で、日当たりの良い急斜面を生かした栽培をしている。今回の豪雨では急斜面の表土層が崩れる表層崩壊を起こし、畑ごと剥がれるように崩れた場所もある。

 今の時季は本来、病気の防除や草取り、果実の間引きを行う重要な期間。畑とともに農薬散布用のスプリンクラーや運搬用トロッコも崩れ、手入れにも支障が出ている。

 家の裏のミカン畑が崩れて自宅が倒壊した二宮健三さん(54)は「畑は何年もかけて直さないといけないが、今は生活で精いっぱい。ミカンのことは考えられない」と畑よりも自宅周辺の泥かきを優先する。