【愛媛県宇和島市で報道部・太田代剛、山口智】自宅を失った被災者が「うち1軒だけで迷惑かけられねえ」と炎天下、道路の泥出しに明け暮れていた。愛媛県宇和島市吉田町の被災地では12日、住民たちが膨大な土砂に立ち向かったが、険しい地形と断水、何より人手不足で作業は進まない。西日本豪雨から13日で1週間。東日本大震災でノウハウを培った本県の支援が必要とされている。

 気温32度。「アイス持ってきました。ひと休みしましょう」。松山市で地域活性化コンサルタント会社KIRI(きり)を経営する中野泰誠さん(35)と学生ら7人が汗だくで氷菓を届けると、白浦地域の住民約10人の表情が緩んだ。

 7日午前7時ごろ、ミカン畑約2・5ヘクタールを経営する農業二宮健三さん(54)の裏山が崩落。ミカンの木数十本をなぎ倒し、自宅を押しつぶした。

 宇和島市はボランティアの受け入れ体制が整わないため市内在住者に制限し、人手不足は明らか。中野さんの紹介で泥出しに駆けつけた愛媛大大学院の栗原峻さん(25)は「学生は皆、何かしたいと思っているが、どうすればいいのか情報がない」と、橋渡し役の必要性を訴える。

 3月まで大手広告代理店の社員としてスマイルとうほくプロジェクトに関わり、被災地を支援した中野さんは「長年大災害がなかった愛媛は災害への警戒感も、必要な支援を受けるノウハウも不足している。いまこそ震災の教訓を伝えることで復興が早まり、来るべき南海トラフ巨大地震への備えも進む」と語る。