「平泉の文化遺産」の世界遺産登録から29日で7年。県と一関、奥州、平泉の3市町は2月、拡張登録を目指す5資産を絞り込まず、一括で登録を目指す方針を固め、文化庁への推薦書素案提出を見送った。構成資産が平泉町内だけとなり2市1町の連携に亀裂が入る事態は防げたが、拡張登録の時期は見通せなくなった。住民からは取り組みの長期化を懸念する声も聞かれ、登録に向けたモチベーションを保つ意味でも、登録の在り方に関する住民の合意形成が求められる。

 文化遺産登録を目指し、活動を続けて約15年。奥州市前沢の白鳥舘遺跡がある地域の行政区長、佐々木初郎さん(69)は、登録当初の盛り上がりが薄れてきたと感じ「(拡張登録に向けた)見通しが見えれば違うと思うが、期待は低くなってきた」とこぼす。

 

 一方、一関市厳美町の骨寺村荘園遺跡は、地元の本寺地区地域づくり推進協議会(佐々木勝志会長)や同市のいわいの里ガイドの会(斉藤三郎会長)が、同遺跡の価値の普及や景観保全に尽力している。斉藤会長(75)は「発掘調査などを待つしかないが、登録のいかんを問わず、地域と共に農村景観の素晴らしさを伝え続けることに変わりはない」と先を見据える。

 拡張登録に向け、登録を目指す資産の絞り込みが表面化したのは17年8月。海外の専門家らが同年度末の推薦書案提出を前提に「短期間で価値証明の可能性が高い」として、奥州藤原氏が政治を行った拠点「平泉館(ひらいずみのたち)」と推定される平泉町の柳之御所遺跡のみを加える拡張案を適切とした。

 しかし県と3市町は2月、従来通り5資産で拡張登録を目指す方針を確認し、同素案の提出を見送った。発掘調査などを続けているが、いつまで調査研究を続けるかや同素案の提出時期はまとまっていない。