東京代官山や名古屋市に店舗を持ちインスタグラムやTwitterでも「かわいすぎる!」と人気の子ども服ブランド「panpantutu(パンパンチュチュ)」。海外のブランドを思わせるガーリーで色彩豊かなデザインが話題を呼び、盛岡市桜山の直営店には関東や北海道からもファンが訪れる。同市のデザイナー萱沼はるなさん(42)が「着る人も贈る人も幸せになる子ども服に」と願いを込め、大切に育て上げてきたブランドコンセプトが全国に羽ばたき、たくさんの親や子どもたちを笑顔にしている。

ふんわりとしたボトムのシルエットが特徴

 東京のアパレル企業で広報などを務め、13年前に結婚を機に盛岡市に移住した萱沼さん。長女が生まれ「幼少期ならではのかわいらしさを引き立てる服がほしい」と感じたことが2006年にブランドを立ち上げたきっかけ。国内のデザインはシンプルが主流で、カラフルな海外の服は高価。「ならば自分で作ってみよう」と経験はなかったものの前職のネットワークを生かして服作りを始めた。海外の工場と直接取り引きして価格を抑え、試行錯誤を重ねて完成したのがベビー用のフリル付きブルマ(フリフリボトム)。まだ実店舗はなく全国のセレクトショップを通じた販売からのスタートだった。

出産や誕生日のプレゼントとしても人気

 特徴はなんといってもハイハイやヨチヨチ歩きの時期に似合うふんわりしたシルエット。どの角度から見てもかわいらしく見えるようフリルをたっぷり使う一方、普段着用に自宅洗いOKと自らもママとしての感覚を生かす。親にとってはバタバタしてあっという間に過ぎてしまう時期だからこそ笑顔で過ごしてほしい。子どもも成長して写真を見返して幸せな気持ちになってほしい―。そんな思いから「小さなレディの宝物になるお洋服」というコンセプトを大切にしている。

盛岡市内の直営店。「ネットだけではなく店舗で買い物したい」というファンが県外からも訪れる

 出産祝いや誕生日のギフトとしても人気が高まり2013年、盛岡市に直営店がオープン。ベビー用ブルマから始まった商品もやTシャツ、靴や帽子などのアイテムが増え、サイズは130センチまで広がった。

 店内のイメージはブランドの世界観そのもの。1階にはおもちゃや雑貨も置き、2階は「お姫様のクローゼットに紛れ込んだような」ロマンチックな空間が広がる。おしゃれ心が芽生えた年齢の女の子が手にとって選べるようにとテーブルの高さも低めに設定している。

盛岡市内の旧石井県令邸で撮影(パンパンチュチュカタログから)

 ネットを通じて人気が広がり、関東や遠方のファンからは「盛岡の店舗に行きたいが小さい子を連れて遠出できない」という声も。2015年に代官山店、18年4月には実質3号店となる名古屋店がオープン。5月には横浜市の百貨店に期間限定で出店した。着実に発信の場を広げているが、拠点はあくまで盛岡。公式サイトやカタログで紹介している写真は、盛岡市内にある私邸の洋館「旧石井県令邸」(市の保存建造物)や岩手公園で撮影を行い、地元の子どもたちがモデルを務めている。

 ブランド全体をプロデュースする萱沼さん自身2児のママ。「子どもがいる女性スタッフも多く、保育園や学校行事はお互い様。好きで続けている仕事なので楽しんでいる。若いスタッフは情報収集の仕方も違うので、アイデアを参考にしたい」と働き方はしなやかだ。代官山と名古屋の店長は経験を積んだスタッフに任せており「盛岡で経験を積み、いずれは県外で働きたいと思う人材も歓迎」と若い世代を応援する。「シンプルな流行のデザインも意識しているが、これからも子どもの夢や憧れの世界を大切にしたい。お気に入りの服を着て過ごした時間がいつまでも家族の宝物になりますように」と洋服にメッセージを込める。