NIEアドバイザー・茂庭 隆彦

「問いながら」が重要

茂庭 隆彦さん

 前回まで、NIEを始める環境整備、新聞作りの工夫をアドバイスしました。今回は「新聞を読む」に焦点を当てます。新聞記事には、ニュース(新しい出来事)とビューズ(意見・論評)があることは述べました。同じ出来事に対するビューズは、各社により相違がありますが、ニュースはどうでしょうか。

 ニュースは事実ではなく記者が事実を伝えようとしたものです。何社かの新聞を比べ読みすると違いに気付きます。読む習慣がない人は、その違いから新聞は信頼できないと誤解するかもしれません。しかし、そのような短絡的な捉えこそが、一つの情報を信用しフェイクニュースを助長する危険性を内包しています。

 メディアとしての新聞の特徴は、信頼性、俯瞰(ふかん)性、雑多性などです。では、どのように読ませたらいいでしょうか。まず、各児童生徒にとって最も関心のある記事を毎日読ませましょう。新聞を広げて眺め(俯瞰性・雑多性)、気になった記事を熟読するのが普通だからです。

 読むことは、文字を頭の中で言葉に変換すると同時に、既有の知識や考えと比較し自分の中で対話する行為です。これが自己内対話です。新学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」の最初の対話こそ自己内対話です。新聞を読み「書いていることは本当か。どうしてだろう。何でこんなことを言うのだろう」と、問いながら読むクリティカルリーディングが重要です。

 問いに対する自分の考えを友人らに話すことを外化といいます。外化を通し、他人の意見を聞き、なるほどと知識の習得や理解する内化が起きる一連の過程が学びを深めます。内化した知識を基に高次の思考を行う過程が重要です。

 タイムリーで信頼性の高い情報を提供するNIEを授業に活用すると、正解のない社会の課題を具体的な文脈、状況を題材にどのように解決すればいいのかを学ぶことができます。現実の問題解決に働く確かな学力を育てましょう。


千厩高校長 茂庭 隆彦(もにわ・たかひこ)

 岩泉高小川分校で教員生活スタート。県総合教育センター主任研修指導主事、一関一高定時制副校長などを経て17年千厩高校長。高田高勤務時代、自然災害を考える授業でNIEを開始。16年から日本新聞協会認定NIEアドバイザー。岩泉高校長として台風10号豪雨災害に地学教育の識見を生かした。60歳。一関市生まれ。