企業社会と障害福祉。遠く離れていた世界に接点が広がり、働く障害者が全国的に増えている。県内の民間企業(50人以上)で雇用されている障害者は昨年6月現在で3千人超、実雇用率2・16%と、ともに過去最高。実雇用率は北海道・東北でトップだ。

 伸びているのが都市部。盛岡広域圏障害者地域生活支援センター(通称「My夢(まいむ)」)が関わった障害者の就職実績は増加傾向にあり、昨年度は過去最多の81人に上った。

 制度改正が追い風だ。障害者雇用促進法が定める企業の雇用率は今月、2%から2・2%に引き上げられ、精神障害者も対象になった。

 働く夢の実現に向かって歩む障害者。制度改正に対応するため、障害特性を踏まえた職場環境の改善に力を入れる企業。双方の間を取り持つ福祉関係者。それぞれの努力が少しずつ実を結んでいる。

 ただ、雇用増が必ずしも、理解の広がりと軌を一にしているわけではないようだ。相談機関には最近、「深夜勤務ばかりやらされる」など、健常者が敬遠する業務の穴埋め的に働く障害者の苦しみの声も寄せられている。

 障害者雇用が、単に健常者の補助的作業であっては、就職しても長続きしない。

 厚生労働省調査によると、特に精神障害者の平均勤続年数は4年3カ月で、他の障害より短い。「業務は配慮してもらっているが、昼休み時間に職場の人と話ができず寂しい」とこぼす人もいる。

 職場定着を進めるため、障害特性を知る機会を設けたり、働き方を工夫している企業の先進事例を学ぶ取り組みなどに力を入れてほしい。

 とりわけ企業関係者には、福祉の現場を見てほしい。そこには、障害の多様性に配慮し、軽重問わず支え続けてきた歴史がある。多様な人材が活躍できる職場づくりを進める上で、「誰一人切り捨てない」福祉の理念と実践に学ぶことも多いのではないか。

 国の障害者雇用施策も、再検討すべき時期に来ている。制度設計の甘さが露呈したのが、昨年から岡山、広島県など西日本で相次ぐ就労継続支援A型事業所の障害者大量解雇問題と言えよう。

 A型事業所は、障害者福祉と就労の橋渡しをする施設。障害福祉サービスの給付金と共に雇用保険の助成金などを手厚く受け取れる。株式会社の参入が認められたこともあり、全国で急増した。

 就労支援に熱心な事業所が多い半面、収益が見込めないのに補助金を当て込み参入し破綻するケースも。その結果大量解雇の事態を招いた。

 国は福祉の理念に立ち返り、企業とのより良い連携から障害者の職場定着を支える制度設計を進めるべきだ。