「岩手の復興を考える」をテーマに、1年間、総合的な学習の時間に探究を進めてきた盛岡三高(山形守平校長、生徒846人)1年生286人は、学習の集大成となるポスター発表会を行った。49班が、沿岸地域で実習し新聞などを活用して調べ考えた内容を、東日本大震災(2011年)や台風10号(16年)被害からの復興に向けたアイデアとして提案した。

 同校1年生は、昨年4月から復興をテーマに講演会などを重ね、10月に陸前高田市、大船渡市、釜石市、山田町、宮古市、岩泉町を訪問。震災復興を目指す特色のあるまちづくりや住民による地域再生、観光などの取り組みを現地で実習。新聞やインターネットを使い情報収集し、課題を見つけ解決策を探ってきた。

 ポスター発表会はパワーポイントを使った発表に続く企画。生徒間の質疑応答の機会を増やし考えを深めるとともに現地で復興に携わる住民らを講師に招き、復興策の提案を伝え、助言を受けることが目的だ。

 49班がそれぞれ探究成果をポスターにまとめ掲示。2グループに分かれ、発表と聴講を交互に行った。

 6組宮古班は「復興の意味を考える」と題し三陸鉄道や景観、特産品の利用を提案。コンセプトは「宮古のシンボル」。三陸鉄道の記事を基にアイデアを考えた半田みなみさんは「早期復旧を成し遂げた三陸鉄道は復興のシンボル」と強調。

 本堂未来さんは、2月14日付岩手日報の「98%が住宅再建」の記事を手に「住居や拠点施設の完成などを伝えるこの記事に復興の加速を感じた」と説明した。

 3組山田班は「三世代旅行」を提案。吉田雪妃(ゆき)さんは、山田町民の古里の復興、追悼への思いなどを新聞から読み取り「町を知らない人間が提案などしてもいいのか-と考えていたが、外部の人が活躍していることを知り、町や町民への思いがあれば関われる-という自信につながった」と熱心に語った。

 陸前高田市で実習した6組の斉藤悠耶さんは「テレビやネットで見せられる情報と違い、新聞は自分で探し読むため、頭にしっかり残る」と実感。山田町の復興策について考えた2組の熊谷柾希さんは「過去の新聞を読むことで、現状がよく分かり、今、自分たちができることを考えられた」と探究活動に新聞を役立てた。

 学年主任の玉田豪教諭(44)と総合的な学習の時間担当の柿崎朗教諭(43)は「時間的に根拠をつかむまで読み込んだ班は100%ではないが、考えるきっかけ、新聞の活用については学んだと思う。地道に積み重ねていきたい」「新聞をうまく使うにはまず興味を持って読む習慣が大切だ」と生徒を見守った。

隅々まで読破 紙面に新発見

生徒が読んだ記事をペンで囲んだ新聞と気付いた点を記入した「NEWSPAPER QUEST・発見の書

 盛岡三高1年生は昨年10月、新聞週間に合わせ、新聞を隅から隅まで読む活動「NEWSPAPER QUEST(探求・探索)」を毎朝15分、朝学習の時間に行った。

 活動は冒険ゲーム仕立てで「冒険の書」に沿って実施。冒険のフィールドは、基本的に地方紙と全国紙1部ずつ。ペンと辞書を手に、総合、社会、経済、国際、スポーツ…と読み進み、読んだ記事には印を付ける。気付きや驚き、発見は「発見の書(アイテムリスト)」に記入。生徒は約1カ月かけて手にした1、2部を読破した。

 玉田豪教諭は「いろいろな事柄が掲載されている情報源としての新聞の価値を分かってほしかった」と狙いを語る。

 熊谷真輝さんは「新聞は文字が多く、とっつきにくい印象があったが、一つ一つの記事を見ていくと実生活に役立つものが多いことに気付いた。興味がない記事も、読んでみれば関心が出てくる。そこが面白く、楽しかった」と実感した。

 熊谷さんのほかにも「どこに、どんな情報が書いているか分かった」「自分の意思を持って読むことが必要と感じた」「写真や各面のレイアウトの違いなど新聞社の工夫を知った」「ネットニュースにはない情報が詳しく載っていて発見が多かった」と多くの生徒が、新聞の情報や魅力に触れる機会になった。


情報を俯瞰/考える道標

 高校生に新聞からの情報収集を勧める学年主任の玉田豪教諭と総合的な学習の時間担当の柿崎朗教諭に、隅から隅まで読む活動や調べ学習など、新聞活用の狙いや効果を聞いた。

(聞き手 読者センター・礒崎真澄)

 -「隅々まで新聞を読む」学習の狙いは。

 玉田「新聞の情報源としての価値に気付いてほしかった。インターネットの情報は、キーワードを入れなければ行き着かないが、新聞は1ページ広げただけで何かがひっかかり俯瞰(ふかん)することができる。興味のあるところから読んでもらいたい」

 柿崎「広く厚みのある情報はやはり新聞や本の活字媒体に限る。関心のない点も他人の薦めるものに接することで興味が広がる。大学での研究でも必要になるだろう。知的好奇心の広がりが学びを支え、学力を後押しする」

 -ポスター制作で新聞の利用を呼び掛けた。

 柿崎「新聞は県内外の取り組みを伝えている。商業や観光など地域を盛り上げる手だてを考える取り組みだったが、テーマに広くアプローチすることが期待できる情報源だ」

 -高校生が新聞を読む必要性について、どのように考えるか。

 玉田「自分の意見を持つためには、他の人の考えや思いを自分に重ねることが必要だ。人との関わりは直接的なものだけではない。新聞や本では間接的に接し広げられる。特に新聞はリアルタイム。人と社会との接点で、生徒たちに継続的に読んでほしい」

 柿崎「一つの出来事でも各社で書き方が違う。記者の切り口や会社の方針が表れ、それぞれ高校生が考える道標になる。比べて読むことで自分の意見の形成にもつながる」

 玉田「比較しながら読むこと、読み慣れることで、クリティカルな発想が育まれる。また、相手を説得させるためには根拠や数字など十分な情報が必要だ。今回の総合学習で、その点にも気付いたと思う」