オンリーワンの経験

 宮古支局に来てまもなく11カ月。戌(いぬ)年を象徴するかのように犬取材に染まった一年だった。

 一年のスタートは、秋田犬ならぬ「岩手マタギ犬」探し。1カ月近く探してようやく子孫らしき犬にたどり着いたが、岩手マタギ犬の正式な血統書はそもそも存在せず、真偽は分からなかった。しかし、ロマンあふれる取材に心が躍った。

 3月には、ペット同伴避難訓練や保護犬の譲渡を続けるNPO法人「命ほにほに」が宮古市で発足した。つい先日、楽しくしつけを学ぼうと「お座りか伏せを2分間続けた犬の頭数」のギネス記録更新に向けて、挑戦を始めた。6歳の女の子とチワワが共に地面に「お座り」して挑む姿に心が和んだ。

 最も印象に残っているのは、東日本大震災の時、飼い犬を助けるため自宅に戻った方の話。「当時の判断が正しかったか、今でも分からない」と言われ、自分に置き換えて悩んだ。危険な行為だと頭では分かっていても、安易に「戻るべきではない」と啓発する記事は書けなかった。今でも答えは出ていない。

 犬のイベントと地域の重要な祭りがかぶり、犬の取材を優先したら上司に指導されたこともあったが、大好きな犬に囲まれ、充実した一年だった。いや、オンリー「ワン」の一年だった。

(新屋大介)