小さな発見を楽しむ

 沿岸南部では驚きの表現として「ばばば」を使う。うわさに聞いてはいたが、信じていなかった。2カ月前に陸前高田支局に着任するまでは。

 ところが来てさっそく「劇団ばばば」という団体に出合った。寸劇の締めくくりには全員で「ばばばー」と引っくり返って驚く演出も。それでもまだ「劇の外でも言うのだろうか」と半信半疑だった。

 そんな時に、震災前の写真を眺めながら「ばー、懐かしいなあ」「ばばばー、こんな所があったなあ」とつぶやく人の姿を目にした。やはり「ばばば」は本当だったのだ。万感込められた「ばー」には、単なる驚きの表現とは異なる深みがあった。

 聞き慣れない言葉に戸惑うことは多々あるが、内陸の地元との違いは小さな発見として楽しんでいる。取材中に聞いた「おひまだれかけて申し訳ねえな」「いえいえ、こちらこそおひまだれかけて」という会話もすてきだ。

 「ひまだれ」は時間を費やすことで「時間を使わせてしまって申し訳ないね」という意味になる。散歩の途中で話し込んでいるところを記者につかまり、さらに長話になってしまったお二人。互いの時間を気遣う温かさを感じた。

 外勤記者職になり2カ月たつものの、まだまだ不慣れな日々。取材の際は質問や写真撮影に手間取り「おひまだれかけて」しまうこともありますが、地域の皆さま、どうか来年もよろしくお願いいたします。

(小野寺 唯)