向き合う、真っすぐに

 思いを発信する場、悲しみや苦しみを共有する場-。4月に着任し、取材を通じて「場」の大切さを実感する日々だった。

 来秋のラグビーワールドカップ(W杯)で試合を行う釜石市の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムはその一つだ。復興支援への感謝や震災の教訓などを発信する舞台の完成を約6500人が祝った日の光景を鮮明に覚えている。本番が迫る。世界中の人々が感動を共有する場となる日が待ち遠しい。

 大槌町の旧役場庁舎は津波の脅威を今に伝える場。町職員遺族にとっては大切な家族の「生きた証し」でもある。遺族7組は今月、被災から7年9カ月を経て集い、思いを語り合った。「不定期でも涙を流せる場所をつくりたい」。長女を失い、集いを呼び掛けた小笠原人志さん(66)の言葉が心に刻まれている。

 新しい時代を迎える2019年。復興への歩みを続ける沿岸地域では、三陸鉄道リアス線全線開通や三陸防災復興プロジェクト、ラグビーW杯などビッグイベントがめじろ押しだ。

 来年の干支(えと)「亥(い)」にちなんだイノシシは突き進むイメージが強いが、急停止も方向転換もできるという。さまざまな「場」に立ち会うからこそ、真っすぐ向き合い、時に立ち止まって考える。視野を広げ、考えを転換できる柔軟性も身に付けたい。

 (川端 章子)