励ます記事届けたい

 無理のないすてきな笑顔だなと思った。11月。全国喉摘者(こうてきしゃ)発声大会一般食道発声の部で本県初の3位に入った奥州市胆沢南都田の千田安子さん(61)を取材したときのことだ。

 9年前。千田さんは下咽頭がんと診断され、突然命と声の選択が迫られた。声帯を全て摘出する手術を行い、一度は声を失ったが、その後の訓練で全国大会で表彰されるまでに至った。

 病気と診断された時のショックや手術へのためらい、先輩患者との出会いや孫たちと競うように発声練習したエピソード…。話を聞く中で、千田さんの前向きさと家族の支えの大きさを感じた。

 食道発声は、声帯の代わりに食道入り口部分の粘膜のヒダを振動させて声を出す。健常者とは違うため、外出先で友人に偶然会って声に驚かれることもあるが、千田さんは病気のことを隠さず話すという。「同じように病気で悩む人たちの助けになりたい」。まっすぐな言葉が心に響いた。

 記者は4月から9年ぶりに奥州支局勤務。以前よりも、高齢化や人口減少と聞く機会が格段に増えたと感じる。家族の病気や介護を抱えながら暮らしている人も少なくないだろう。支え合う気持ちが大切だと感じるとともに、悩みに対し少しでも励みになる記事を書いていきたいと思う。

(佐藤 俊男)