不屈の姿に奮い立つ

 今年も威勢のいい掛け声とおはやしの音が響いた。久慈、野田、普代の3市村で初秋から相次いで開かれた祭り。祭り好きの記者の心をくすぐってくれた。

 久慈秋まつりは県北最大級の祭典だ。見どころは何といっても高さ10メートルを超す仕掛けに富んだ山車。歴史物語や伝説を題材にした飾りが華やかで、ついついシャッターを切りすぎてしまう。山車とみこしが集う前夜祭は8ギガバイトのメモリーカードまで「満腹」にしてしまった。

 約650年の歴史を持つ秋まつりは近年、天候に泣かされている。久慈支局に着任した2015年は山車とみこし運行の「お通り」が雨で後日にずれ込んだ。16年は台風10号豪雨災害で過去にほぼ例がないという「完全中止」に。台風禍を乗り越えた17年は全行程を観覧することができた。

 そして今秋。残念ながら雨で郷土芸能パレードが1日延期になった。だが「台風後に市民から『頑張れ』と声援を受け、立派な山車を完成することができた」と山車組・上組の中野勝則組頭は誇らしげだった。長い歴史を紡ぐことができた根底に、不屈の精神があるに違いない。

 目抜き通りを堂々と練り歩く山車とみこし、参加者の姿に奮い立つ思いをした人は少なくないだろう。自分はその一人だ。新たな時代が幕開けする19年こそ、快晴の日々を祈っている。

(小野寺卓朗)