名将の陰に名コーチあり。27日開幕の第98回全国高校ラグビー大会に出場する黒沢尻工の高橋正栄(まさえ)コーチ=北上市江釣子=は73歳となった今年も聖地、花園ラグビー場(大阪府東大阪市)に乗り込む。21歳から約半世紀にわたって母校の指導に携わり、全国にその名を知られる「赤べこFW」の育ての親だ。教え子の伊藤卓監督(44)と二人三脚、熱いハートで孫ほど年の離れた選手を鍛え、花園通算40勝を懸けた30日の初戦を心待ちにする。

 「しっかりやれ」。グラウンドに高橋さんの大声が響くとチーム全体が引き締まる。高校時代はソフトテニスの選手。母校の実習教諭に就いて4年目の1967年、当時の監督に若さを買われてコーチになった。選手と一緒に見よう見まねで技術を習得してきた。

 78年度全国準優勝に導いた野田修三さん(故人)、佐々木正春さんら一時代を築いた名監督を支え、全国の強豪に育て上げた。90年代に通算5年務めた監督時代を合わせ、花園出場は今回で28度を数える。

 チームの再建にも力を尽くした。99年に黒沢尻工を離れ、一関工で定年を迎えた2006年。勝てなくなった低迷期に外部コーチとして再登板した。09年度には教え子の高橋智也監督との師弟コンビで16大会ぶりに全国へたどり着いた。

 伊藤監督も花園に出場した92年度の教え子。初めて采配を振るった昨年、恩師のサポートが心強かった。「生徒に負けないくらい研究熱心。試合より他校の練習を見て、新たな指導法を勉強している」と全幅の信頼を寄せる。