2000年前後に始まる一連の司法制度改革の目玉として、09年5月に導入された裁判員制度は来年、10年の節目を迎える。

 この間、政府は裁判員法の付則に従い、施行3年目に制度の見直し作業に着手。15年12月に改正裁判員法が施行された。その際、同じく付則でさらに3年経過後に制度を再点検することとされた。今月は「3年目」に当たる。

 15年の法改正では、超長期にわたる事件を対象事件から除外できる規定をはじめ、性犯罪事案や大規模災害発生時の配慮規定が設けられた。だが、かねて議論のある裁判員経験者の守秘義務や否認事件への裁判員参加の在り方、事前、事後を通じた心のケア、社会的理解の醸成など積み残された課題は多い。

 裁判員裁判は、審理が長期化する傾向にある。最高裁によると、初公判から判決までの期間は、昨年の平均で10・6日。制度が始まった09年は3・7日だった。今年は9月末時点で10・5日という。

 一方、裁判員候補者に選ばれた段階で辞退する人の割合は、09年時点の53・1%から上昇傾向が続き、今年は9月末時点で67%だった。

 審理の長期化は、裁判の充実に尽くすという意味で一概に否定されるべきではあるまい。だが、昨年調査では審理予定日数が長いほど辞退率が高まる傾向が表れた。因果関係が指摘されるゆえんだ。

 折しも先月初めには、神戸地裁姫路支部で初公判から207日を要した裁判員裁判の判決があった。これまでの160日を大きく超えて過去最長だ。公判回数も過去最多の70回を数えた。

 この裁判では、裁判員候補として呼び出しを受けた501人のうち、80%を超える420人が辞退。裁判員となった6人も、4月の初公判後に3人が辞退を申し出て交代したという。

 裁判員裁判の対象は、殺人を含む重大事件。大多数の国民にとって「非日常」に属するだけに、できるだけ関わりを持ちたくないと思うのは人情だ。各種世論調査でも、依然として忌避感が強く表れる現状で、辞退を柔軟に認める必要はあるだろう。

 だが「市民の司法参加」という制度の理念に照らせば、辞退者の増加傾向は見過ごせない。辞退理由は「仕事」が最多とされるが、時間に余裕のある人に偏っては司法に多様な意見を反映させる制度の趣旨が揺らぐ。

 それぞれ仕事や家事などの都合を抱える市民の物心両面の負担の軽減と、審理の充実をいかに両立させるか。まだまだ義務感に偏る現状で、制度を社会に根付かせるためには、3年と言わず不断の点検と見直しが欠かせまい。