【東京支社】日本学術会議が19日、文部科学省に提出した国際リニアコライダー(ILC)に関する回答は、11月公表の文案に比べて修正が加えられ、計画を推進する研究者は前向きに受け止めた。当初、越年もささやかれた回答も年内で決着。日本政府の意思表明の国際期限である来年3月7日までに誘致の意義を一段と発信し、前向きな政治判断につなげる考えだ。

 同会議の幹事会は15分間ほど協議。7~18日に行った外部専門家の確認を経る「査読」では約50カ所の指摘があったと報告した。

 質疑で、海洋研究開発機構の高橋桂子・地球情報基盤センター長は「学術的に十分価値はあるが、予算など具体的な準備が足りないということか」と表現の意味合いを確認。回答内容をまとめた検討委の家泰弘委員長(日本学術振興会理事)は「素粒子物理分野での大きなテーマだ。いろいろな条件を脇に置けば、意義がある」と説明した。

 11月に検討委が公表した文案では、ILC研究の重要性について「当該分野の研究者コミュニティーで合意が形成されていない」と記したが、最終的には「合意が得られている」と修正。国際経費分担について「見通しなしの誘致決定は危険」との部分は「明らかでない点は懸念材料」との表現に落ち着いた。

 11月に文案に対して事実関係の修正を求める意見書を提出した研究者の一人、東京大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は幹事会を別室で傍聴。「学術的意義が明言されたことは大きい。研究者コミュニティーの合意形成、国際科学拠点の形成の意義も認められた」と評価した。

 同じく同大大学院の駒宮幸男名誉教授も「学術的意義を認められることが一番重要。指摘された課題は研究側と政治的努力で解決される」と受け止めた。

 前身計画の時代を含めれば1991年以来続くILC誘致活動は、ついに最終段階の政治判断へ移った。山下氏は「社会的にILC計画を知ってもらうことが重要で、ここからが本番。広い支持を得られるよう国内外に発信していきたい」と力を込めた。