託された思い優しく

 今年は二つの「光」にまつわる取材が思い出深い。一つは大船渡市三陸町にある綾里小の「日本一早い」入学式。4月1日、羽織はかまをまとった1年生の中に、笑顔がまぶしい木下太陽君の姿があった。

 父親は東日本大震災で自宅が被災した智彦さん(34)。震災当日、不安と暗闇の中で一夜を明かした。その5月、長男が誕生し、家族にとって待望の光。「みんなに必要とされる太陽のようになって」との思いを名前に込めた。

 もう一つは、漁具の明かりをまちでともす市民有志の催し、漁火(いさりび)イルミネーション。発案者の佐々木陽代(ひより)さん(30)は3月の初開催を前に「登下校で見ていたいさり火が見えなくなり、海が遠くなった」と話した。海沿いの実家は津波で被災し、市の内陸部で暮らす。交流人口拡大の願いと海への思いが込められた光はとても優しく感じた。

 翻って今年の漢字は「災」。全国で災害が相次ぎ、北海道胆振(いぶり)東部地震の大規模停電も繰り返し報じられた。本県の大震災時、記者は宮古支局勤務。真っ暗な光景は「震災時も同じだった」と記憶がよみがえる一方、夜空の星がまぶしく感じたことも思い出す。

 光にさまざまな思いを託す人たち。その姿を見て、来年の漢字こそ明るい一語が選ばれてほしいと願う。

(長内 亮介)