知的や精神障害、認知症などで判断能力が十分ではない人を支える成年後見制度。後見人らが預貯金などの財産管理や、福祉・介護サービスの利用手続きなどを行う。

 支援を要する人は数百万人以上と考えられるが、利用者は2017年末で約21万人にとどまる。障害者との地域共生の推進、認知症高齢者の増加への備えを進める上でも、まだまだ足りない。

 後見人の育成が急務だ。身寄りのない人が増える中、弁護士や司法書士、社会福祉士ら専門職が後見人になるケースも多くなっているが、追いつかない。各地で市民後見人養成講座などが開かれているが、職責は重く、幅広い知識が求められるだけに、実際に就く人は少ない。

 モデル的な取り組みが、認定NPO法人成年後見センターもりおか(019・626・6112)だ。知的障害者が安心して暮らしていけるようにと、08年に設立された。

 支援スタッフは、養成研修を受講した公務員OBら17人。法人として組織的、長期的に後見業務に取り組む。解決が難しい問題が起きても、独りで抱えず、弁護士らの助けを得ながらチームで対処する。財産管理のみならず、本人の意思を尊重し、生きがいを支えるのが信条だ。

 困った時には専門家が支える態勢を各地に整えることで、市民の力を生かしたい。

 利用する側の意識はどうか。同センターが17年度、知的を中心に精神障害者も含め計255人の家族を対象にした調査によると、成年後見制度について「将来は利用するかもしれない」「将来も利用しない」という回答が計7割以上となった。全般的に、将来の課題と考えている家族が多いことがうかがえる。

 県内各地の精神障害者家族会も、会員の高齢化が進む中、「親亡き後」が悩みの種だが、実際に成年後見の利用へ踏み出す家族は限られる。

 「制度がよく分からない」「手続きが煩雑」「家族の支援で足りる」「後見人を頼むほどの財産がない」「後見人に払う報酬が心配」…。その理由は多岐にわたる。

 制度の啓発はむろん、福祉の専門職には、利用をためらう家族の心情に寄り添い、わだかまりを少しずつ解きほぐしていくことを期待したい。公的支援の乏しい時代から、何十年も懸命にわが子を支えてきた親が、第三者にわが子を託すことに抵抗感を覚えるのは、無理もないからだ。

 高齢化が進む中、成年後見は将来の課題とばかり言っていられないのも現実。最近では、親が認知症になり、精神障害の子どもが介護を担うケースも出てきている。

 親は、元気な今こそ「親亡き後」を考えてほしい。