国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致の意義について検討する日本学術会議は19日、年内最後の幹事会を開く。政府に示す回答案は有識者の確認作業を経る、最終段階の「査読」が進められており、最終形がまとまる可能性もある。11月に公表した文案は巨額費用の国際分担など複数の課題を厳しく指摘したが、素粒子物理学の専門家らは「事実誤認が多い」などと修正を促しており、幹事会の展開が注目される。

 日本学術会議は今月7日、下部の検討委が手掛けた回答案の査読をスタート。終了後は幹事会に諮り、文部科学省へ提出する。同会議事務局によると14日時点で、次回幹事会の議題とするかは未定という。

 11月公表の回答案は巨額経費の国際分担について「見通しがない」など厳しい指摘が目立ち、直後に専門の研究者らが「事実誤認や理解不足が多い」として反論の意見・説明書を提出した。

 ILC計画を推進する東京大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は「査読の日程を踏まえれば回答がまとまる可能性がある」とする一方、「修正点が多い場合は、もう少し時間がかかるかもしれない」と注視する。

 ILCを巡っては、日本政府に年内の意思表明を求めていた世界的な研究者組織のリニアコライダー国際推進委員会(LCB)が7日、最終期限を「来年3月7日とする」と表明。検討途上にある日本に一定の猶予が与えられたとも見えるが、山下氏は「そもそも今夏までとされた期限が過ぎた。時間が過ぎるほど日本の信用が失われる」と強調する。

 日本学術会議による日本政府への回答は重みを持つ半面、国内誘致の可否は「国益」を見極めて政治が最終判断することになる。

 超党派のリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟で副会長を務める自民党の鈴木俊一氏(衆院岩手2区)は「国際交渉を開始する姿勢を示すことが必要だ。3月までと言わず、早ければ早い方がいい」と指摘。

 議連幹事長の同党の塩谷立氏(同静岡8区)は「閣内の理解者、協力者を得るため年内に話し合いを進めたい」とラストスパートを掛ける。