取材後手も対応感謝

 本社勤務を経て今春、大船渡支局に着任し、初めての冬を迎えた。取材先で「沿岸は暖かくていいですね」と言っていたのも数日で、最近は「今日も冷えますね」が定番のあいさつだ。

 寒さも深まってきた先月下旬、大船渡に明るいニュースが飛び込んだ。約200年前から続く三陸町吉浜の小正月行事「吉浜のスネカ」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。

 登録決定の約1カ月前、ユネスコの補助機関による登録勧告が午後6時ごろに出た。翌日以降と見込んでいた勧告の発表に向けてスネカ関連の取材の用意をしていたところだった。

 慌てて吉浜へ取材に向かったが人の姿がない。一軒の民家を訪ねると、スネカの伝承を支える吉浜中の渡辺英樹さんの自宅だった。午後8時近い突然のお願いにもかかわらず家族で快く取材に応じ、吉浜の誇りが世界の宝に近づいた喜びを話してくれた。

 この夜は自分の準備不足への悔しさと、人の温かさが身に染みて涙が出た。そして登録決定時は、改めて渡辺さん一家への感謝の気持ちがこみ上げてきた。

 今年は大船渡で暮らす大勢の方にお世話になった。皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに、新しい年はより地域に寄り添い、誰かの心を温かくできる記者を目指したい。

(真下舞子)