政府の中央防災会議の有識者会合が11日まとめた南海トラフ巨大地震の異常現象観測時の対応を巡る報告書では、震源域の半分で地震が起きる「半割れケース」の場合、残り半分の沿岸住民にも一斉避難を呼び掛けるとした。企業活動の一律制限は見送ったが、広域での避難による影響が本県の企業活動に及ぶことも懸念され、支援態勢の見直しが必要となる可能性もある。7年9カ月を経た東日本大震災の教訓を基にした「空振り覚悟」の対応への対策が、本県でも求められそうだ。

 神戸市に工場を構える金属部品加工のアイオー精密(花巻市東十二丁目)は、同工場が被災した場合、本県の製造拠点で代替生産する態勢を整えている。しかし西日本の企業との取引は年々増え、毎日のように関西へ製品を空輸している。

 佐藤安行総務部長(59)は「従業員の避難や物流インフラの混乱で取引先の稼働が休止する恐れがあり、売り上げへの影響は多分にありそうだ」と話す。

 三重県四日市市に半導体記憶装置フラッシュメモリー製造の四日市工場を構える東芝メモリ(東京都)は北上市に新工場を建設中。本県立地は災害時に企業活動を早期復旧する手順を定めた事業継続計画(BCP)の意味合いもあり、四日市工場と生産システムを共通化して災害に備える。

 支援態勢への影響も考えられる。本県は東海地方が被災した場合は静岡県、近畿、四国、九州の各地方の場合は愛知県を支援することになっているが、被災していない地域で一斉避難した場合の対応について、県総合防災室の佐々木隆室長は「広域避難なども想定され、国の指針などに沿って対応していく」とする。