東日本大震災から7年9カ月を迎えた11日、大槌町新町の旧役場庁舎に町職員の遺族らが訪れ、手を合わせた。旧庁舎内では本体解体に向けたアスベスト(石綿)除去工事が進む。町職員だった長女裕香(ゆか)さん=当時(26)=を亡くした釜石市鵜住居(うのすまい)町の小笠原人志さん(66)、吉子さん(66)夫妻は、娘の「生きた証し」でもある旧庁舎を前に、「一人でも二人でも遺族が集い、一緒に語り合える場をつくりたい」と思いを打ち明けた。

 二人は冷たい風の中、静かに旧庁舎を見つめた。献花台の周りは重機で剥がしたアスファルトが山積みされ、旧庁舎内からは石綿を除去する音が聞こえる。

 「この日は(娘が)生きていたんだという思いが強くなる」。吉子さんは涙をこらえて「津波の高さが分かるものがなければ、子どもたちや県外の方に伝わらない」と、旧庁舎を遺構として残す意義を語った。